第19話
「あーちゃんっ、一緒に学校行こ?」
「嫌だ」
俺が学校へ行こうと、玄関のドアを開けると目の前に千里がいた。なんとなくいると思ったがまさか本当にいるなんて。もちろんお断りだ。
「えぇなんで?……..もしかして恥ずかしいの?」
「なわけないだろ、ていうかついてくるな」
俺がほって行こうとすると後ろから引っ付くように歩いてきた。
「いいじゃーん、それともあーちゃんは私のことが嫌いっていうの?」
「そうだよ」
「ガーーーン!あーちゃんがあまりにもツンツンすぎて辛いよぉ…….おいおいおい泣泣」
「知らん」
マンションのロビーに入ってもまだ俺の背中に泣きながら引っ付いてくる。中学の頃の青春破壊がなければ全然仲良くしたいんだがなぁ…….。
ロビーを出ると、眩しい陽の光が差し当たった。
雲ひとつない快晴の青い空とギラギラと光る太陽。
「眩しいな………」
「えっへっへっ……..すぅぅぅぅ!!!……ふぁぁいい匂いすぎるっ!あーちゃん匂いたまんねぇぇ…………うっどうしよう息吐きたくないよぉぉ!」
苦しそうな顔をした変態が俺の後ろで何やら騒いでいた。本当にそのまま昇天して欲しい。
「暑いし汗かいてるし、臭いだけだろ」
「むっ!むっ!はぁぁぁぁぁ………..ふぅぅ……それがいいんだよあーちゃん!」
「だるい奴だな、ほら行くぞ」
「うふふ、結局は私と学校行きたいんだったんだね。そうなら最初からそう言えばいいのに、照れ屋さん♪」
ツンと人差し指で俺の頬を押した。
かなり、うざい。
「………………」
俺はそのまま隣にいるだらしないやつを無視して学校へと向かった。
♢
学校、理科室よりも奥にある怪しい教室。
「よく集まってくれた同士よ」
教卓の前にたったある者がそう発言した瞬間、教室は前から波のように明るくなっていく。
「昨年。我が校には舞原派閥というものができた、しかし!」
15人ほどの聴衆いや、ファンとでも言うべきか彼らは目を輝かさせていた。
「今日この日、ここに青山派閥ができたことを宣言する!」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
なんの集まりか、分かりたくないがこれは青山千里のファンクラブの集まりである。昨日転校してきた千里は他クラスからの注目がすごくついにファンクラブを結成したのだった。
「ゴホンッ」
代表が咳払いをした。
「これからは、青山千里殿のことは千里様と呼ぶことにした。みんなもこれからは千里様と呼ぶようにしたまえ。それじゃあ本題に入ろうと思う。ここに集まってくれたのは俺と同じ千里様に魅力いや、神々しさもった同士たちだろうと思う」
するとみなそろってうんうんと頷いた。
「ありがとう、千里様のことを見ると体や心の衝動が抑えられないのは分かるがここでみんなにいい情報が入った。千里様は落ち着いた方がタイプなのだそうだ、つまり分かるだろう?千里様の前で意のままにはしゃぐと嫌われるのだ」
「「「おおぉぉぉ」」」
本当かわからない情報の中感動の声や、メモを取る者までいる。
「そして、だ!私たちは千里様の後ろで大人しく見守るという組織にしたいと思うそうすれば千里様のもさぞかし気に入ってくれるだろう」
「ということで今日から活動を始めようと思う。
次の集まりはその都度連絡する。よしっ早速だが今日の議題は面白いものがある」
代表はニヤッとして、企みを含めた顔をした。
なんだなんだと待ちきれない顔をしたファン達。
「最初から嫌な話だが千里様の障害になる人を早速見つけた。この写真を見て欲しい」
電気が消え、前のスクリーンが垂れ幕のように出てきた。
バンっとスクリーンに映像が映った。
「あの美しい千里様に教科書を見せてと頼まれたのにもかかわらず嫌な顔をしている不届きものだ。頼まれるという嫉妬は我慢しよう。しかしだ!このような顔をして千里様もさぞかし不快な気持ちになったことだろう!」
教卓の前で、自分の辛そうな表現を体で表した。
「俺はこいつが許せない、と言うことで皆も同じ感情だろう。議論題は藤本蒼についてだ」
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