第18話

「ちょっといいか、藤本」


4時間目休憩中に廊下から先生に呼ばれた俺。

なんで俺?と思いながら先生のもとに行った。


「はい、なんですか?」


「青山さんのことなんだが、転校してまだばっかりで学校のことが心配らしくてだな。お前に青山さんの学校案内頼んでもいいか?」


は?先生何をおっしゃっているのですか?

俺が?あいつに?


だがここで断ったら先生からの評価が下がるかもしれないと愚考した。これは究極なる2択だ。もちろんどっちも嫌だ。


「な、なんで僕なんでしょうか?」


俺は千里の席と隣ってだけで。俺が学校案内なんてする理由なんてない。。


「俺も担任だし、転校生の青山さんのこと改めて調べてみたんだよ。んならお前と小中同じだと言うことが分かって、席隣だし小中同じだったやつなんてお前しかいなかったから........頼めないか?」


先生の態度的に、先生本心で思ってそうだし......やるのもありだ。


千里のせいで先生が操られているとかならまた話は別だ。その時は全力で断らせて頂く。千里のせいで周りからの評判は悪くなっても俺は先生からの評判は良でありたいんだ。


すまん!しかし社会というのはごますった方の勝ちなんだ!


「わ、分かりました。けどいつしたらいいんですか?」


「そうだな、早速だが今日の放課後とか無理か?

鍵なら貸すから理科室とか案内して欲しい」


くっ、あいつと放課後………。しかし、今日の俺の部活は休み……。


言い訳もしようもなく、やるしかないのか。


「分かりました。」


「おお!助かる!ありがとうな藤井」


俺の手をとってぶんぶん縦に振り、すんごい感謝してくる。先生腕外れますって!


「あっ、はい」



ということで、放課後にやって参りました。

周りは、部活やら帰宅やらで俺たち2人になった。

千里のやつはもう知っているのか、ウキウキした目で俺を見ている。


「ねぇ、あーちゃん学校案内してくれるんでしょ?

私全然この学校について知らないから教えてね?」


「蒼さんじゃないのか?」


「どっちでもいいよ、あーちゃんの好きなようにして」


さっき蒼さんとか変に呼ばれたので皮肉で言ったが全然気づいてもらえなかった。流石だ。


「それよりもう行くぞ」


「うんっ」


俺が先に教室を出ようとすると、昔みたいに後ろを嬉しそうな顔をした千里が歩いてくる。


「てか、お前なんでここに来たんだよ」


授業中は教科書を見せてやったのでまだしも、こいつは休憩中、俺に話しかけてこなかった。そんなのおかしいに決まっている。


「もちろん、あーちゃんに会いたかったからだよ?

あーちゃんに部屋のことバレたしもう1人でいる必要もないしなにより寂しいからかな」


「んじゃあなんであんなに大人しかったんだよ」


「そりゃああーちゃんの”彼女!”としてお淑やかな風格を見したかったからだよ」


彼女を強調するな。


「俺はお前の彼女になった覚えはないというか、なりたくない」


「えぇ!ひどいよぉ!なんでそんなこと言うの?」


んじゃあ、お前はいつ俺と彼女になったんだ?と言いたいがなんか言い負かされそうなので言わないことにした。


「うるせぇ………ちなみに、ここが理科室だ」


ちょうど歩いてた時に理科室に着いた。


「え〜中どうなってるの?」


鍵を持っているが、絶対閉じ込められるから教えるわけがない。俺はしっかり対策済みだぜ。


「入られるわけないだろ、薬品とかあるんだから」


「え〜でもでも、先生あーちゃん鍵持ってるって言ってたよ?」


は?先生いらんこと言わないでください?ここで俺が持っていることバレれば監禁されるのですよ?

化学薬品ありますよ?死にますよ!


「めんどくさいから持ってこなかった」


「けど、あーちゃんのポケットから、亜鉛?銅?分からないけど合金の匂いするよ?」


こわっ?!鍵と0距離でもない限りわかんねーよそんな匂い!


「持ってないから」


「ふふっ、私あーちゃんと何年過ごしてきたと思ってるの?年中月中週中日中あーちゃんのこと考えてた私があーちゃんの嘘を見破るなんて目を開けるより簡単だよ?」


まぁそうだろうな、俺が嫌いになるくらい引っ付いてたもんなお前。


「嘘ついてない、鍵は持ってないから」


「私に閉じ込められると思って嘘ついてるのもバレバレだよ?」


「くっ、、とにかく中は見せないからな」


「もぅ〜そんなこと言うなら先生に見せてって言っても見せてくれませんでしたって言うよ?」


「お前それは卑怯だぞ!」


「じゃあ、見せて。閉じ込めたりしないから!約束する!」


「本当か?」


「うん!閉じ込めたら私実家に帰ってあーちゃんに会わないって約束する!」


「そこまで言うなら、、」


言う通りに鍵を開け、一緒に入った。



「ほら、何にもなかったでしょ?」


「あぁ。」


その後、本当に何もなく学校案内は無事終わったのであった。(何もなくてよかった)






























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