隣の部屋に間違えて入ってしまったら昔の幼馴染がそこにいた

鯵の閉まり

第1話

〜幼稚園の遊び場〜


女の子と男の子が追いかけっこをしていた。

女の子の容姿はピンク髪でクリクリとした目と人形のような顔立ちをして幼稚園の制服が余計にその幼さと可愛さを引き立てている。

対して男の子は...........普通だ、ふつう。普通の男の子。


“あーちゃん”が男の子で女の子が”ちーちゃん”と呼ぶ。


「はぁ....はぁ....あーちゃん待ってよぉ〜」


「鬼ごっこなんだから待つわけないだろ!」


女の子がはぁはぁ言って苦しそうなのにこの男の子は紳士ではないようだ。

う、うるさないなぁ!。


「はぁ....はぁ....あーちゃんのケチィ.......はぁ.....はぁ........」


はぁはぁと息を荒げながら女の子はそれでもあーちゃんを追いかけていた。


「............あっ!」


「ちーちゃん!」


女の子が転げそうになったところを、彼女を実は気にしながら逃げていたあーちゃんが後ろを向き、ちーちゃんのことを抱き留め間一髪で阻止することができたようだ。


「あーちゃん..........」


「危なかったな......お前は転びやすいんだから気をつけろよ......だけど転んだ時はしっかり俺が守ってあげるよ」


「ありがとうあーちゃん、大好き、将来絶対結婚しようね?」


「ちーちゃんが覚えたらね」


「将来、私があーちゃんのこと守れるように頑張るっ、いっぱい頑張ってあーちゃんと結婚する!えへへあーちゃん好きぃ」


♢♡


「.............はぁ」


また、あいつの夢を見てしまった。

申し遅れました俺の名前は藤本蒼ふじもとあおいです。

名前が女の子みたいだって?それは気のせいだ!。見た目は男のおとこのこなんてことはなく普通の男の子だ女の子の方がおかしいくらい普通の男の子........って何言ってるんだろ俺。ちなみに俺はこの「女の子みたいな名前笑笑」と言われてもキレません自分でも思っているので。


とりあえずベットから起きることにした。

カーテンを開けると、日光が眩しくて目が覚めるのを感じる。


ある事情で一人暮らしをしている俺はいわゆるタワマンに住んでいる。


金持ちがっ!って?確かに裕福な暮らしをしていたかもしれないが俺はこの20階建てマンションの1階に住んでいる。


タワマンの1階は比較的に家賃が安い。調べてもらったらいいが高層階と1階では値段に遥かな違いがある。しかも、比較的に田んぼだらけとかではないが田舎寄りのところにできた駅近新築のマンションなので土地も安いのだろう、そこまでお金がかかるわけでもない。  


ってそんな生々しい話はいいんだよ。


そんな感じで独り言をついていると鍋の水が沸騰していた。

朝ご飯のコーンスープに使うためのお湯だ。


コーンスープにパンを用意すればあとはパンを浸すだけで美味しいし何より簡単だ。

コーンスープの粉をカップに注ぎ沸騰したお湯を入れる。


「あつつつ」


お湯を入れる勢いを強くしてしまいカップの中で跳ね返るお湯が自分の手についた。

まぁそんなこんなで今日の朝ご飯はそれだけだった。


最近高校二年生になった俺は少しずつ高校に慣れてきた。

恋人とか遊びまくるぜ!みたいな青春ストーリーは残念ながら持ち合わせていないが、陰キャとしてそれなりに充実していると思う。


まぁ客観的に見ると皆のほうが充実しているのだろう。だかしかし俺はこれで満足しているのだ

それはもう充実していると言っていいだろう。


「いってきまーす」


もちろん一人暮らしなので誰もいないがまぁ恒例行事としてね。


俺はドアを閉めたのを確認したのち、鍵をかけた。


ちなみに、俺の部屋の両サイドには他の人が住んでいる。新築だが、このマンションは人気なのか一階は埋まったらしい。


右の方は知っている。

金田さんだ。おばあちゃんで、会うとよく挨拶してくれるのでその返事として挨拶をしている。それだけじゃないが金田さんはとても優しい人だ。


そして、左側の人とは会ったことがない。多分深夜のバイトとかしているのだろう。朝昼、俺がたまに夜に外にでることがあるが一度も会ったことがない。あまり気にしてないのが正直なところで無視している。




学校に着いた。早朝でもないが朝礼の20分前くらいに着くようにしているので玄関も下駄箱も人は少なかった。あ、一様俺頭悪いので自慢できるような高校にはいってないです。すみません優秀じゃない主人公で。。一様、白城はくしろ高等学校というところに行ってます。(みんなはしろしろと言っている)

それも相まってみんな5分前くらいになんの焦りもなくざぁっと教室に入ってくるのだ。


まだ誰もいない下駄箱で靴を履き替えて自分の教室、2-2の後ろ扉を開いて自分の席に向かう。


「よっす、ふじぃ~」


「うっす........って何してんのそれ」


こいつは、俺の親友とも呼べる早川祐介はやかわゆうすけ俺の高校で唯一の中学からの友達だ。

俺はふじぃと呼ばれている。

そいつが、何か喜ばしい顔でスマホを見ていたから尋ねてみた。


「これね、新作のゲームで昨日ベータ版テストプレイが開始されたらしいよ」


そう、俺もゲーム好きでこいつもゲーム好きだから昔から気が合って仲が良かった。

そんな早川だがゲームをしていたわけではなく、動画を見ていたようだ。


「へぇ俺もやってみようかなぁ」


「ふじぃは2年なって部活忙しくなってんの?」


「いや、いつも通りだけど......そっちは学年上がったからって忙しくなってんの?」


そう、俺は部活に所属している。

意外にも軟式野球部だ。昔、野球を習っていてそこはかとなく野球ができるのだ。

あと、この学校のクラブ1つ入っておいたほうがいいよ(強制)のためになんとなく入ったって感じだ。


ガチのやつは硬式野球部に所属するらしいがあまりの活気の圧に見学の時点で俺は「あ、やめよ、やめとこ死ぬわこれ」と思い断念した。軟式には俺みたいな野球できるけど陰キャがたくさんいるので、みんなのカーストは平等に保たれている。


偶にふざけたやつが入ってくるがどうせいつかサボりだして幽霊部員確定演出なのでみんなで無視している。


早川はテニスらしいのだが俺はテニスのルールさえも知らないからさっぱり分からない。

テニスをやったことはあるがボールを打ち返すときホームランを打ってしまう。


球を打ち返す棒といえば野球脳の俺からしたらホームランを狙うしかない。あんな狭いところたまにバウンドさせるなんて難しすぎて無理だ。


「いやぁそれが俺のところはガチだからさぁ.......後輩に教えないといけなくてさぁ」


「忙しんだなー」


「まぁな」


俺と早川で新しいゲームPVを見ながらそんな話をしあっていた。
















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