〇〇メーターをやめた理由

 私は、読書メーターに登録していました。   

 感想を通じて本好きさんたちと交流できるSNSです。リアルで読書好きさんに遭遇する確率って意外と低いし、自分が読んだ本を面と向かって勧めるのは、恥ずかしい。


 このサイトでは、登録している人の感想に★をつけることができます。「つぶやき」機能も追加されて、読書版Twitterと言っても過言ではない仕様です。


 感想に星がいっぱいつくと、自分を肯定してもらえたような満足感を覚えるんです。読書を楽しめて、なおかつ人に認めてもらえる。承認欲求まみれの私にとって、夢のようなサイトでした。


「自分の感じたことは正しいんだ。賛同してくれる人がいて嬉しい!」

 最初はワクワクしました。

「う〜ん。文章おかしいから★があんまりつかないのかな? もっと修正してみよう」

「結構、うまくまとめたのに★つかないの、何でだろう?」

「この人の感想格好いいな。真似したら、★もらえるかな……」


 思ったことを伝えたい。

 もっと色んな人に、自分が感動した本を知ってほしい。

 そんな衝動からレビューを書き始めたのに、いつの間にか「いいね」が欲しいから本を読むようになっていました。


 自覚したのは、張り切って書いた感想にまったく★がつかなかったとき。


 苦労して読んだのに、★がついてない!

 なんで!


 高評価が欲しくて面白くない本を読んでいたことに気づきました。

 目的と手段がぐるんと入れ替わって、楽しかった読書が苦痛になりました。


 思いきって「退会」ボタンを押すと、読まなきゃいけない謎のプレッシャーから開放されて、しばらくすると、また読書を楽しめるようになりました。


 文章は自由気ままに書き綴るのが、一番健康的だとしみじみ思いました。

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