【G’s こえけん】恋愛経験皆無のチェリーな僕に届いたラブコメ製造BOXを開けたら理想の女性が現れて積極的に僕を攻めてくる話はかなりのラッキー!?ではなく最恐怖!?
和響
第1話 お届けでーす!
信じられないことが起きた。ついさっきのことだ。一人暮らしの僕の家に、宅配便がやってきた。そんなことはいつもあることなのだけれど、驚くべきはその中身。
「へ? ラブコメ製造BOX? なになに、説明書をよく読んで、お使いください。って、んんん?! こんなの頼んだ覚えがないけど!?」
ピンク色に真っ赤なハートマークがいくつもついたティッシュボックスくらいの箱には、確かに僕の名前、
「とりま、開けてみるしかないか」
僕は不思議に思いながらもその箱を開けた。すると中からボタンはついていない、ショッキングピンクのタブレットのようなものが出てきた。数字のカウンターが時限爆弾のように少しずつ減っていっている。
「ラブコメ製造BOXというわりには、普通のタブレットのように見えるけど? 」
そう言いながら箱から取り出すと、ビヨヨーンと変な音を立ててタブレットの底が伸び、まぁ、BOXに見えなくないような形になった。
「確かに、これならBOXだよな。って、そうじゃなくって、これ一体なんなんだて話!」
『こんにちは。こちらはラブコメ製造BOX研究所です』
「うわっ!ビビったぁ! 箱がしゃべった! あ、画面に何か映り始めたぞ? ラブコメ製造BOXのお買い上げありがとうございます、って、買ってねー、買ってないからこれ! 」
『購入してないですか?』
「うわっ! これなに、音声でしゃべってくれる系?」
『音声でしゃべってくれる系、です。お客様は購入してないのに、このラブコメ製造BOXが届いたと。ふむふむ。少々お待ちくださいませ』
——ピーコぴこぴこピーコピコ……チーン!
『おめでとうございます! お客様は希少なモニターに選ばれたようです!』
「も、モニターって、なんの?」
『もちろん!ラブコメ製造BOXのモニターです!』
「え、ちょっと待って、とりま、このラブコメ製造BOXっていったいなんなの?」
『こちら、今から百年ほど先の未来で製造されましたものでして、恋愛経験のない方々にお届けしているものでございます』
「恋愛経験のないって、それは、まあ、そうなんだけど、てか、そんな未来からお届け物って、まさかアニメじゃあるまいし」
『でも、そういう設定ですので、これは致し方ない』
「設定って、どこ世界だよ。まあいいや、そんで? これはどんなことができるわけ?」
『ふふふ。これはですね、恋愛経験のない方が恋愛したくなるようにと発明されたものでして、いえね、恋愛しないことには子孫が繁栄しませんので、それが百年後の未来では大変問題になっているのでございますよ。だから百年前の現代に抽選でお届けをしているんですけどね』
「でも、さっき購入って?」
『未来人の人には購入してもらってるので。いいんです、その辺も設定なので。というか、このくだり、さっさと済ませないと文字数がもったいないので、先に行きますね』
「文字数!? なんのことだか? まあ、いいや、で、何ができるって?」
『こちらのラブコメ製造BOX、恋愛経験のない方に恋愛を楽しんでもらえるような代物でして。恋愛経験のない方に——』
「ストーップ! その、恋愛経験のないってところだけやけに大きな声になるのはなんで?!」
『では、こう言った方が? どうて——』
「はーい! 恋愛経験がないかたでお願いしまーす!」
『そうですね、その言い方をしますと、プロアマ問わず経験ありの方もいらっしゃいますしね』
「うん、うんうん、うん、その辺はまあいいから。で? 」
『はい。こちらのラブコメ製造BOXの画面でお客様のお好みの女性、もしくは男性を選択し、理想の設定を細かく致しますと、その理想通りの女性、もしくは男性が目の前に現れ、恋愛擬似体験ができるというものになります』
「理想の、女性?!」
『はい! 理想の、女性です。男性でもいいんですけれどね』
「や、女性でいいっす。え? じゃあそれってゲーム上でってこと? そんなのすでにこの2022年にも存在してるけど?」
『そうではございません。リアルな肉体を持った、というと語弊がありますが、リアルな肉体の理想の女性が目の前にどーだー! と現れます。もちろんお触り可能です。あ、こんな言い方、少しお下品ですよね。失礼いたしました』
「や、あの、わかりやすくて、良かったです。ってそこじゃねー! ウッソ、まじで? 本当に目の前に出てくるの!?」
『はい。大体説明以上でこの先に進まないと説明なげーなって思われちゃいそうなので、さくっと、画面上で理想の女性、もしくは男性をセレクトしてください。あ、性別、ビジュアル、性格などはチョイスできますが、声は今お聞きのこのボイスになります』
「え?! じゃあ、男性セレクトしてもこの、甘々な女性ボイスになるわけ?!」
『大丈夫、その場合は最初から男性ボイスで箱が開く設定になればいいだけなんで』
「ちょいちょい出てくるその設定ってなんなん?」
『文字数だけでなく説明なげーなって思われたら嫌なんで、さくっと、理想の女性、もしくは男性を入力してください。こちらからは以上です』
「え? まだ聞きたいことが、ねえ……、ねえー? あ、もう何にもしゃべんないや。ま、日曜日で暇だし、タダだし? 遊んでみるか」
なんて気楽な気持ちで画面をタッチして僕好みの女の子をセレクト、洋服は普通の綺麗なお姉さんコーデにして、性格を、積極的な女性にしてみた。
「最後に、胸は大きめっと。はい、完了ボタンはこれね!」
——ピコピコピコピコピー!
「あれ、何これ?! 壊れた!? なんか白い煙がもくもくと、うわっ、うそだろ!? 部屋っ中に!?」
そしてなんと、煙の中から僕が選んだそのまんまのビジュアルの女性が出てきた。
「うそだろ? えっと、まじで!?」
battery 17592
to be continued……
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