第69話 【最終話】ここから始める。
アイシスの村についた。
畑は荒れ果てていたけど、問題は無い。
誰も居なかったのは寂しいが、仕方ない。
昔住んで居た家を直して住み始めた。
勇者の力って凄い..ちょっと頑張ったら直ぐに元の畑になった。
虫の勇者の力で、虫に畑に来ない様に言ったら来なくなったので虫食いは無い。
馬やドラゴンより速く走れるから、買い物に困らない。
ユリアが心配だが、僕かホーリーが付いていれば問題は無い。
畑を作りながら生活していた。
「あの、此処の村民に成りたいのですが、宜しいでしょうか?」
「別に僕は村長でも無いし、開拓しているだけだから自由ですよ」
「そうですか? それではあそこに住んでも良いですか?」
「問題無い筈です」
「それではそこに住まわせて頂きます、あっ私はヘンリーと申します、こっちはリットンと申します、これからはご近所同士仲良くして下さいね」
「はい、ですが親子では無いのですか?」
「遠縁です」
どう見ても村人に見えないんだけどな..
「あのヘンリーさん、何時も僕たちの傍に居ますが、開拓とかしないと生活が出来なくなりますよ」
「それは大丈夫です..私の実家は裕福なので、それに私は農民になるのではなく商人になるつもりです」
「商人ですか? それならこんな辺鄙な場所では何も勉強にならないんじゃないのかな」
「大丈夫です、今は事業より勉強の時間です」
「それなら良いのですが」
ヘンリーさん達は凄く打ち解けてくれた。
よくよく考えたら僕には男の友達は居なかった。
ユリアやホーリーにてを出すと困るから釘を刺したら..
「親友の妻に手なんて出しませんよ..」
「私は妻子持ちです」
これなら大丈夫だろう..
「確かに男の友達はヘンリーさん達しか居ないから親友ですね」
なんで、こんなに喜んでいるんだろう。
それから暫くして今度は..イシュタ教の教皇がきた。
「どうして此処に..」
「私は教皇です、女神様が遣わした勇者の傍でお仕えする義務があります..あっもうこの前の様に派手にはしませんからご安心を、此処にも20名しか連れてきていません..私は司祭にでもなったつもりで、優しい隣人のようにいたしますから逃げないで下さいね」
本当にまるでお爺ちゃんのように僕やユリアやホーリーに接してくれた。
ただのスープを一緒に飲む姿はただの村人にも見える。
「意外そうですな? 聖職者は慰問もしますし、案外質素なのです」
付き合って見ないと解らない事はある物だ。
暫くしてヘンリーさんのお父さんが来たが「息子を頼みます」と挨拶をして帰っていった。
そして、マモンとスカーレットが来た。
「帝国に行ったら居なくなっていたから探したんだぞ..まぁ魔族は人探しは得意だから気にするな」
「私も来ましたよ」
「まさかまだ戦いたいのかな?」
「がはははっ最早お前以外と戦っても面白くないのだ」
「だったら僕は此処に住むから、今度から此処にくれば良いよ」
「うむ、此処には随分と空き家があるんだ、住んでも良いのか?」
「ただの空き家だから住むのは自由ですよ」
「ならば、俺はこの村に住む事にしよう..そうすればいつでもセイルと戦えるしな」
「えーと」
「俺が此処に居れば、魔物は寄り付かんよ..魔族にも命令して悪さしない様に言えるぞ..そうすればお前の嬢ちゃんを守る事になるのだ」
「そうだね」
マモンが居れば、安全だな。
「解った、この村を守ってくれ..その代り、偶に相手すれば良いんだよな?」
「ああ、それで良い」
「それじゃ私も住んでよい」
「勿論」
ユリアとホーリーを連れてドラゴンビィの巣の前にきた。
あれっ、巣が復興している..
そうか、生き残りが居て頑張って復興したんだ...
《人間?..》
うん、正確にはケインビィとビィナスホワイトの友人だよ..
《そう、勇者の友達か..頑張ってまた大きな城を作るんだ》
頑張ってね応援している。
近くの村にマモンが居るから、ここにバグベアーは来ないだろう。
前よりももっと、もっと大きな巣を作ってね..
《うん、頑張るよ》
僕もドラゴンビィに負けない様に村を開拓しよう、心からそう思った。
やがて、村が復興し始めると、昔アイシスの村に住んで居た人たちも戻ってきた。
アイシスの村は元の何倍も大きくなっていった。
だけど、僕はそんなのはどうでも良い「ユリアが居て、ついでにホーリーが居れば」あとは全て只のおまけだから。
(FIN)
終わってはいなかった..この村には教皇が居る。
そして、王子がいる..
気が付くと此処は村を越えて大きくなり裕福になっていく..
セイルやユリアに気がつかれないように住みよい環境を作る..
その方針で二人は固めていた..
帝都のように逃げ出さない様に..
どうなるかは..だれも知らない。
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