貴方の気持ち、私の気持ち。
たまに二人で勉強しているテーブル。それに向かい合わせで私たちは座っている。テーブルの上には気まずいながらもコンビニで買ったお菓子やジュースがあるが、とてもじゃないがそれに手をつける気にはなれない。
「えっとさ……」
対面に座っている心音さんが話しかけてくる。
「信じてくれるかわからないけど、私他人の心が読めるんだ……」
「え、本当……?」
「じゃあ、適当に4桁の数字思い浮かべて……」
「……、……」
「0513……そしてそれは眞冬叔母さんの誕生日……」
「嘘……!?」
「母親からの遺伝でね、そういう家系なんだ」
彼女から信じられない事実が突き付けられる。つまりそれって……
「じゃあ、私が心音さんの事が気になってる事とか、私が寂しい時に時を止めて心音さんにくっついてたりしてたのも知ってるの……?」
「まぁ、うん。ごめんね、連絡先交換したとき知っちゃって、それでどうすればいいかわからなくてさ……それからも心を読んで様子見てた……」
うわああああぁぁぁぁ! バレれた。全部バレてた。それもさっきではなく、最初から。さっきと同じくらいの恥ずかしさに襲われる。私、これからどうやって生きていこうかな……
「あの、時雨はさ、この話聞いて私の事、幻滅した……?」
「そんなことないよ! 心音さんは私の気持ちに気付いてても、友達として、私に接してくれた。やろうと思えば脅して酷い事もできたけど、そんなことは一度もしなかった。私も時間止めてくっついてたりしてたから、お互いさまだよ!」
私がそう言うと、不安そうだった彼女の顔が安堵の顔に変わった。
「それであの、私さ……時雨に伝えたいことがもう一つだけあるんだ……」
「うん……」
「観覧車で告白しようとしてた時あったでしょ? その後私さ、時雨と付き合う事について考えたんだ」
「……」
「私、昔に悪い心いろいろ読んじゃってさ、恋愛に前向きになれなかったの」
「……」
「でもさ、とても優しくて、可愛くて、私を二度も助けてくれてさ、しかも二回目は命の恩人だし、そんな時雨に寂しい思いばっかりさせるのも嫌だなって思ってさ。だから私は、時雨となら恋人になってもいいと思ってる」
「……!」
「ごめん。訂正させて。時雨……いや時雨さん、私と付き合ってください!!!」
「……! ……!!!」
♢♢♢
対面に座る時雨の表情と心の声から、ありったけの喜びの感情が私に伝わってくる。私に近付いてくる人に、邪な心を持ってた者もいた。でも、時雨は違う。私の事が純粋に大好きで、思いやりがあって、温かい心を持ってる人。そんな人から好意をぶつけられるのは、こんなに心地のよいことだったんだ。
「はい、喜んで!改めて彼女としてよろしくお願いします!心音さん!!!」
彼女のその言葉で、私からも喜びの感情が溢れ、頬が緩み、嬉し涙も出てくる。
こうして私達は、彼女彼女の関係となった。
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