第8話
「おお、起きたじゃないか桐谷!」
目を覚ますと俺はベッドにいた。
声がするため俺は上半身を上げるとそこには紀伊がいた。
「ここは……」
「保健室だよ。全く、三階の男子トイレで寝ているとはね」
「……」
そうだ、俺は……。
「今は何時だ」
「今かい、昼休み終了二十分前、十二時五十分だよ」
「そうか、ありがとう」
彩花と先輩さすがにもういないのだろう。
はあ、まだ彩花のことを考えてしまっている自分が憎い。
「うん、じゃあ僕はこれでいくよ。栗田先生には僕から伝えておくとするから、まだ顔色が悪いし大丈夫になったら栗田先生のところへ行くといいよ」
「ああ、そうする。もう少し寝るよ、ありがとな」
「うん!」と紀伊はニコリと微笑むと保健室を去っていった。
全く、紀伊はなんていいやつなんだ。
紀伊に今の俺の状況を伝えたら俺は少しでも楽になることができるのかもしらない。
いいや、ダメだ。
これは俺の問題なんだ。
ましてや彩花の悪評が広がる恐れがあるんだ。
「まただ、また俺は彩花のことを」と呟く。
寝るとしよ……。
再度、上半身をベッドへと付けようとした時だった。
はあはあ、と息が荒くなる。
冷や汗が流れる。
枕元には──。
「なんでこんなのが」
先が縛られて真っ白な体液が入ったゴムが置かれていた。
「あるんだよ」
今まで気づかなかったが、左側を向くとクリーム色のカーテンで閉じられているが外の明かりが入ってきている。
「そっか、ここはさっき彩花と先輩がシたところってことかよ」
突如、とんでもないほどの吐き気に襲われる。
が、胃にはもう何も残っていない。
吐き気だけがただただ辛い状態だ。
ここで彩花は裸で先輩とシたんだ。
そう思うと下半身が反応してしまう自分が本当に憎い。
と、その時だった。
ガラガラとドアがスライドする音が聞こえる。
誰だ……?
「失しま〜す。シンタロー?」
と、彩花の声がした。
なんでこのタイミングでくるんだよ。
来ないでくれ、今会ったら俺は壊れてしまいそうだ。
もうこれ以上俺を刺激させないでくれ。
「ああ、彩花か」
「うん、倒れたって聞いたけど大丈夫?」
「ダメっぽいわ」
慌てて体液の入ったゴムを床に落とす。
平常心だ、大丈夫。
何も難しいことなんてないからさ。
彩花がこの空間へとやってきた。
あれから始めて彩花と直接会う。
「顔色悪っ、もう少し寝たほうがいいよ!」
「お、おう」
ダメだ、彩花と先輩がシているところが頭に流れ出す。
彩花と俺がシているところが頭に流れ出す。
キョロキョロと周りを見る彩花。
何かを探しているように見えた。
彩花は本当にかわいいなあ。
耐えろ俺、これ以上先に行ったら終わりだろ。
胸に手をやり彩花は、ほお、と安心したのかため息を吐く。
「まあ、もう少し寝るといいよ」
「そうする」
ヤりたいヤりたいヤりたいヤりたい。
「じゃあ、わたしはこれで失礼した方がいいよね?」
「う、うん」
ヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいヤりたいヤりたい。
ダメだ俺、本当にそれ以上はダメなんだよ。
ヤったら俺はもっと彩花が恋しくなるじゃないか。
俺はポケットからコインケースを取り出し中からゴムを取り出す。
麗奈から常時持っていた方がいいと言われたものだ。
そして、俺はそのゴムを彩花に見せて。
「その前に一回」
これ以上はダメだ。
下唇を抑えるが、欲望というのは抑えられないものだな。
「ヤろう……」
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