第121話 温泉宿オアシス

ユウキ達は無事にそれぞれがサブ職業に就く事が出来た。


ユウキが真の勇者、ジュリアがヴァルキリー、リーネがアルテミス、ニーチェがセイレーンのサブ職業だ。


サブ職業の効果はとても大きい。それぞれの職業にレベルがあり、上がる度にステータスが上がっていくからだ。要は全ての能力が2倍になるのと等しいという事だ。ユウキのメイン職業は主人公というユニーク職業で、カツヤの勇者よりも強い職業だ。それでも強いのに、サブ職業に就く事で能力が約2倍になるのだからすごさがわかるだろう。


もちろん、ユウキがプレイしていたドラゴンファンタジーのゲームでは、選べる職業はもちろん一つだけだった。


サブ職業のレベルはメイン職業に比べそれ程高くはないが、ユウキ達は冒険を一旦ストップし、ゆっくりと休息期間を取る事にした。休息期間と言っても1カ月も2か月も休む訳ではない。ちょっと2泊3日の小旅行に行くような感覚だ。


「こんな所に温泉宿があるなんてね。ユウキは良く知ってたわね。」


「ああ。だけど俺も来るのは初めてだからあまり詳しくは知らないぞ。」


(ゲームではよく泊まりに来てたっけ。なんせここは混浴で入ると必ず女性が先に入っててラッキースケベイベントが毎回起こる所だからな。まあでもゲームだと泊まりは一瞬だったから今回は実際の良さを味われるからけっこうたのしみだな。)


「いらっしゃいませ。温泉宿オアシスへようこそ。ご利用は初めてでしょうか?」


「はい。4名で2泊お願いできますか?」


「ありがとうございます。お部屋はどう致しますか?」


「もちろん4人一緒よ。」


「わかりました。では離れの昇龍の間をお使いください。食事はどうされますか?部屋に運ぶ事もできますが?」


「私は部屋でゆっくり食べたいですね。」


「じゃあ食事は部屋に持って来てくれますか?」


「わかりました。案内するもの来るまでしばらくお待ち下さいませ。」


「雰囲気の良さそうな宿ね。」


「ああ。部屋も空いててよかったよ。」


ユウキ達は案内の者についていき、昇龍の間に向かった。


部屋に入ると、中は、よくある旅館のように床は畳が敷かれ、奥には景色が見れるようになっていた。ベットはなく押し入れに布団が入っていた。


畳の上にはテーブルが置かれていて、テーブルの上にはお茶とお茶菓子が置かれていた。


(昔行った温泉旅館だな。落ち着くわ〜。)


ユウキは押し入れの中にある浴衣を見つけたので一人着替え始めた。


「どうしたの!?急に脱ぎ始めて!?」


「あっ!・・・ごめんごめん。浴衣があったからつい・・・。」


「「「浴衣?」」」


「ああ、みんなは浴衣を初めて見るのか。これは宿で過ごす服みたいなもんだよ。」


「宿で過ごす専用の服があるなんてすごいわね。急に脱ぎますからちょっと焦ったじゃない。


着いて早々!?っ思ったわ。ま、まあそうなっても別にかまわないんだけど・・・」


最後の方は声が小さく、ユウキには聞こえなかった。


「えっ?」


「何もないわ。それより着方を教えてよ。どうやって着るのかわからないわ。」


ユウキはジャリア達に浴衣の着方を教えて、全員が浴衣に着替えた。


「これいいわね。ゆったり着れて楽だわ。」


「アタシもこの浴衣ってヤツ気に入ったぞ。」


「私もです。」


「それじゃ早速温泉に行く?」


「そうね。いきましょう。楽しみだわ。」


(ふふふ。ラッキースケベイベントなんて久しぶりだな。あれっ?ちょっと待てよ・・・。混浴って事は、逆もあり得るって事だよな・・・えっ!?もしかして俺以外に男が入ってる可能性もある・・・それってジュリア達の裸が俺以外に見られるって事・・・それは・・・)


「あっ!ちょっと!」


「?どうしたんですか?」


「いや、あの・・・その・・・。」


「どうしたの?早く行くわよ。モタモタしてると置いて行くわよ。」


(いやいやゲームでは男が入ってた事はないはず。ここは前向きに考えよう。そうだ。俺以外に男はいないはずだ。いやきっといない!いる訳がない。)


「行くよ。行く行く。」


ユウキは温泉に向かうジュリア達の後について行った。温泉には男の湯と女の湯と書かれた暖簾があった。


「じゃあここでお別れね。ユウキの方が早かったら部屋で待っててね。私達も温泉から出たら部屋に戻るから。」


「ああわかった。ゆっくり疲れを取って来いよ。」


「ユウキ様こそですよ。」


そうして、ジュリア達は女の湯へ、ユウキは男の湯へと入って行った。


男の湯に入ったユウキは、脱衣場を見渡し、他の男性客がいないかをすぐに確かめた。


「うっ・・・やっぱり現実はそう甘くはないか・・・5人ぐらい先客がいそうだな。まあでもジュリア達の事だから混浴の方まで足を運ぶとは限らないよな。」


ユウキは服を脱ぎ、タオルをペチンと肩にかけて温泉へと向かった。扉を開けると大きな浴槽が二つあり、どちらにも先客の姿はなかった。


(まあ男なら混浴と分かればそっちに行くのは当然だよな。俺も身体を洗ったらそっちに行くつもりだったし。)


混浴になっているのは、更に先にある扉を抜けた先で露天風呂になっていた。ユウキはささっと身体を流してから露天風呂へと向かった。


露天風呂への扉を開けると、目の前には5つの露天風呂があり、どれも真っ白い湯気が立ち上っていて中は見えなかった。


(とりあえずラッキースケベのイベントが起こる一番左の露天風呂に入って見るか。)


露天風呂に近づくと、湯気の中に人影が見えたので、ユウキはゆっくりと露天風呂に入った。そして、いやらしくならないようにそーっと先客の姿を確認した。


すると・・・


「あら!?ユウキじゃない?奇遇ね。」


「女神様!?」


そこにいたのは、女神ナディアだった。


☆☆☆☆☆


いつも読んでいただきありがとうございます。


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『勇者に魔王を倒させろ!?チートはないけどリスク&リターンでやってやるぜ!』https://sususu123.net/category/brave/

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評価もよろしくお願いします。すごいやる気が出るので!!





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