第119話 土の魔人アースン

はぐれ魔人を3体倒したユウキ達は、宿で食事をしていた。


「残すところ後1体ね。」


「ああ。後は土の魔人アースンだけだな。」


「そういえば先にウインドンを倒したのは意味があったの?場所的には先に西に行った方が近かったじゃない?」


「あっ私もそれは思いました。てっきり北の洞窟でフレイムンを倒した後は、西の洞窟に行ってアースンを倒すんだと。」


「ああ。それはな、西の洞窟は指輪が3つないと開かないんだ。」


「どういう事?」


「土の魔人アースンがいる西の洞窟は、今までの洞窟内が迷宮みたいになってたり、闘技場みたいになってたり、迷いの森みたいになってたりしてないんだ。入ったらすぐにアースンのいる部屋があるんだ。その代わり入口が閉ざされていて、炎、岩、海の指輪を使わないと入れなくなってるんだ。」


「そうなのね。でもそれならアースンは行ったらすぐに倒せそうね。」


「ああ・・・。」


「どうしたんですか?」


「いや・・・。」


「何よ?言わないとわからないじゃない。」


「アースンとは戦闘にならないんだ。厳密に言うとアースンは力ではなく、頭の良さではぐれ魔人と呼ばれてる魔人なんだ。」


(アースンとの戦闘って実際どうなるんだ?さすがにクイズに正解したら魔人が死ぬって普通に考えたらおかしいだろ・・・。)


「ユウキ様?それなら話し合いで終わるって事ですか?」


「う~ん。それは行ってみないとわからないかな。」


(とりあえず、クイズに正解してアースンから嵐の指輪を手に入れればミッションクリアになるか・・・。)


「とりあえず行ってみましょ。アースンを倒したら、今回のはぐれ魔人討伐も終わるわ。終わったらカツヤ達が戻ってくるまではゆっくりするんでしょ?」


「ああ。予定ではな。だけどアースンを倒してもサブ職業の証が手に入らなかったらわからないぞ?」


「それはわかってるわ。」


ユウキ達は準備をして、西の海にあるアースンのいる洞窟へと向かった。


洞窟に着くと、入り口は閉ざされており、入り口の傍には石碑があった。その石碑には3つの窪みがあり、ユウキは岩、炎、海の指輪をその窪みにはめた。炎の指輪を取り出すと指輪に吸収されているフレイムンが騒ぎだしたが無視した。


3つの指輪を石碑にはめると、洞窟の入り口はゴゴゴと音を立てて開いて行った。


中に入ると・・・


「ようこそいらっしゃいました。ささどうぞどうぞ。貴方達は100年ぶりの挑戦者になります。ささ、どうぞどうぞ。」


と、執事のような恰好をした魔人がユウキ達を出迎えた。


「あれがアースンなの?」


「ああ。」



「それでは、久方ぶりの挑戦者様。今から私からのクイズです。貴方がたの知識を私に披露してください。」


「第一問。10回息を吹ふくと出でてくる食べ物は?」


(あれ?クイズじゃなくてなぞなぞ見たいになってるぞ??)


「食べ物??何かしら・・・。」


(ああなるほど。たしかに日本の首都は?とかってクイズが出ても誰も答えられないもんな。こっちでも通用するようになぞなぞに変わったんだな。)


「答えは豆腐だろ?簡単だ。」


「正解です。お見事。」


「ユウキ様さすがです。」


「では続いて第二問。5つのボールを焼いてできる食べ物は?」


「又食べ物?・・・えっとボール焼き?」


(ボール・・・たま・・・たまご・・・)


「卵焼きだな。」


「ムム!早いですね。正解です。」


その後も同じようななぞなぞが全部で10問出された。


ユウキが6問答え、リーネが3問、ニーチェが1問正解を出した。ジュリアは全ての問題に答えたが、全てハズレだった。


「お見事です。貴方達の勝ちです。これは、見事私の試練を乗り越えたモノへの商品になります。」


そういって、アースンは嵐の指輪をユウキに差し出した。


「ああ。ありがとう。ちなみに再度挑戦したら別の物をくれたりするのか?」


「いえ。何度挑戦に来て頂いてもかまいませんが、景品を差し上げるのはこれっきりになります。」


「そうか・・・。」


(何度も挑戦できるって事はアースンはずっとここにいるって事だよな)


「それと・・・この手紙をナディア様から預かっております。」


「ナディア!?女神様から?」


「はい。嵐の指輪を差し出す事があるなら、その者にこの手紙を渡してくれ。と・・・。」


(この魔人は友好的な魔人なんだな。それにしても手紙って)


「ユウキ?女神様からの手紙?なんて書いてあるの?」


「いやいやまだ読んでないから!ちょっと待って。」


ユウキは女神ナディアからの手紙を開けて中を読んだ。


『おめでとー。無事に4つの指輪を集めた貴方には素敵なプレゼントが・・・。って集めたのはユウキでしょ?さすがユウキね。あなたの予想通りよ。これでユウキ達は全員がサブ職業につけるわね。引きつづきがんばりなさい。



あっ証の入手方法を伝え忘れたわ。指輪を4つ付けた状態で天に拳をかざして叫びなさい。生涯に一片の悔い無し!!ってね。そうすれば『はぐれ魔人を攻略した女神の証』が現れるわ。


もちろんユウキはわかってるわよね。ちゃんとしないと証は現れないわよ!ふふふ。ちゃんと見てるからよろしくね。』


「これは・・・。」


女神からの手紙を読んで茫然とするユウキだった・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る