第3話 期限は1カ月しかない!!1日も無駄にできないぞ!

今日は王女が船で現れる日だ。王女が勇者であるカツヤを王都に誘いゲームが始まる流れだ。

「おい。海に大きな船が来てるぞ。見に行こうぜ。」


カツヤはあの船が王家の船だという事をまだ知らない。

(来たか。ゲームの流れ通りだな。)


ユウキは誘いにきたカツヤとアイとともに船を見に船着き場に向かった。

船着き場には村人全員が来ていた。

(遠くに見えるあの船か。さてうまくやれるかな。)


ゲームストーリー通りなら王女の船にカツヤ、ユウキ、アイが乗って行くのだが、ユウキはカツヤとアイの二人だけが王都に行くようにしたかった。死なない為に。


船着き場に大きな王家の紋章が入った船が止まった。中から鎧を来た騎士がたくさん出てくる。そして最後にドレスをきた王女が歩いてきた。大国ロッテルドの王女サマンサだ。


「おいおいお姫様だぞ。何があったんだ。騎士もたくさん来てるぞ。」

「お前が勇者になったから来たんだと思うぞ。それしか考えられないだろ。こんな最果ての村に王女様が来るなんて。」

「王女様綺麗ね。」


カツヤとユウキとアイがサマンサと騎士についてヒソヒソ話していると村の村長が前に出て王女に話しかけた。

「ようこそ最果ての村へ。ロッテルドのサマンサ王女様がこのような村へどうして?」

「魔王を倒す勇者がこの村に現れると神からの予言があったのです。ですので、この村に来たのですが、勇者は誕生しておりますか??」

「はい。昨日の儀式でわが村より勇者が誕生致しました。カツヤこっちに来なさい。」


「はい。」

カツヤは村長に呼ばれ、王女と村長が話している場所へ向かう。船着き場では王女と村長を騎士と村人全員が囲んでいる形になっていた。


「このモノが昨日勇者の称号を得たカツヤでございます。」

「あなたが勇者様なんですね。私はロッテルド王国第一王女のサマンサと申します。今日は勇者様をお迎えに上がりました。」

「えっ俺を迎えに来た??」

「そうです。女神様からの予言はこうです。今すぐ最果ての村へ向かいなさい。そこで魔王を討つ勇者が生まれています。勇者に出会えたらロッテルドに迎えなさい。勇者はまだ生まれたばかりで力がありません。サポートして勇者に力を付けてもらうのです。勇者が魔王を討てばこの世界に平和が訪れるでしょう。女神様からの予言に従い、この村に来てみると予言通りに勇者様が誕生していたという訳です。なので、予言に従い勇者様をお迎えに上がりました。


(まあゲーム通りだな。ここでアイとユウキがカツヤを褒めてカツヤはその気になるんだよな~。)

「カツヤすごいじゃん。王都だよ。きっと豪華なご飯食べ放題だよ。」

(いやいやアイさん。気になるのは食事かよ!?他にもあるだろ??。まあこの村じゃ豪華な食事なんてなかなか食べる事ができないからしょうがないか・・・)


アイを含め村人全員から褒められ、期待されたカツヤは王都に行く気になった。

「わかりました王女様。俺、魔王を倒すために王都に行きます。でも俺一人じゃ不安なんで、ユウキとアイと一緒に行ってもいいですか?」

(きた!?カツヤが俺をアイを誘いにくる場面が。よしうまく断るぞ。)


「ホントに!?行く行く。私もカツヤと一緒に王都に行くよ。ねぇ。ユウキも行くよね。」

(悪いなカツヤ、アイお前達のハッピーエンドの為には俺も一緒に行った方がいいんだろうけど、俺は死にたくないんだ。)


「悪い。カツヤ、アイ。俺は村に残るよ。だって俺達がいっちゃうとこの村はどうするんだよ?若者って俺達しかいないんだぜ。だから、行ってお前に協力したいけど、俺はここに残るよ。だからカツヤ。アイ。お前達だけで王都に行ってくれ。お前達が魔王を討伐して戻ってくるまで、俺はここで待ってるよ。」

(どうだ??これなら自然だろ?)


ユウキは昨日考えた作戦を実行にうつした。

「!!確かにユウキの言う事も最もだな。アイ・・・どうする??」

「ユウキの言ってる事もわかるけど、私はカツヤとユウキと一緒に行きたい!!」


カツヤとアイがユウキに一緒に行こうと言い続ける。ユウキは村の為に一緒に行けないと言う。

しばらく平行線を辿っていると・・・

「では王都に戻ったらこちらに定住できる騎士を派遣致しますわ。それなら問題ありませんよね。」

サマンサがとんでもない提案をしてきた


「王女様。本当ですか!?それならユウキも一緒に行けますね。」

(おいおいおいおい。俺は行きたくないんだって・・・これって物語の進行からは逃れられないってヤツか??)


「はい。王都へ行くのに船で約2週間なので、1カ月後にはこちらに騎士を派遣できると思います。」

(まじか~どうしよ。どうしよ。どうするユウキ・・・このままだったら死亡ルート突入だぞ。言い訳するのも不自然だし・・・)


「わかった。じゃあカツヤとアイは先に行っててくれ。俺は騎士が来た後で王都に向かうよ。それなら俺も安心して村を出れるよ。」

(こうなったら1カ月だけでも一人になって、その間に色々やっておくしかないな。この案は必ず通すぞ。)


カツヤとアイだけ王都に行ってもらう作戦が王女の案でダメになったので、1カ月だけでも一人で行動する為に、ユウキは必至にカツヤとアイを説得し、先にカツヤとアイだけ王女と王都に旅立ったのだった。

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