階段の真ん中を歩く

泡沫の桜

階段の真ん中を歩く

トツ、トツ、トツ、トツ、

目前は木造の階段。

右横には古びた分厚い赤紫色の本が鎮座する本棚が並び、左横には深緑色の本が所狭しと並ぶ。

階段の一段一段はとてもとても浅いので、私は足をおもむろに上げ、しかし、しっかりと階段を踏む。

裸足だったら出ないであろう音を出し、上履きとツルピカの木造の階段が発し、本棚に囲まれた空間が反響させる音を聞く。


ポイントは真ん中を歩くことだ。

何にも頼らず、ただ自分の力で、階段に足をかける。


私が主人公なのだ。


上につけば、今度は下がる。

トツ、トツ、トツ、トツ、

目前は大きな窓とその前に赤い机と椅子。

右横には深緑色の本が所狭しと並び、

左横には古びた分厚い赤紫色の本が鎮座する本棚が並ぶ。

階段の一段一段はとてもとても浅いので、私は足をただ前に出して、片方を少しだけ曲げるだけ。しかし、しっかりと階段を踏む。

裸足だったら出ないであろう音を出し、上履きとツルピカの木造の階段が発し、本棚に囲まれた空間が反響させる音を聞く。

ただ、今度の音は光に吸い込まれる。


ポイントは真ん中を歩くことだ。

何にも頼らず、ただ自分の力で、階段に重心をかける。


私は主人公だ。

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階段の真ん中を歩く 泡沫の桜 @seika222sayaka

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