第11話 一回目の登場シーン
人生初の失恋から一ケ月が経った。まだ未練たらたらである。
しかし、たとえ自分の時は止まっていようとも(?)世界の時は刻まれるものである。まず、世界各地の名だたる預言者達が一斉に魔王出現を預言した。これを受けて勇者が選出された。ここで一つ問題が起こる。勇者が各貴族に挨拶周りをする事になった。支援を取り付けたい勇者が自主的に行うらしい。なお、後ろ盾に王家がいるので恐らく建前だ。本音は自分の領土が戦地でなくとも出し惜しみはするなと言ったところだろう。
さて、何を隠そうこの挨拶周りこそがリストデルの一回目の登場シーンである。そして、初っ端から勇者の剣を強奪しようとするのだ。しかも、その剣は王家謹製のガチモンである。勇者としても王家に「貰った剣すぐなくしました」なんて言えないのだからストレスフルな妨害である。まあ、妨害をしない事など容易いので何も問題はないのである。むしろ、歓迎の品を用意しておこう。この世界に来てからずっと改変魔法を鍛え続けているので大抵の事はできる。
「ようこそいらっしゃいました勇者アルロード殿。」
「お出迎えありがとうございますリストデル殿。ぜひ、私の事はアルと呼んで下さい。」
「分かりましたアル殿。私もリストと呼んで下さい。あと、今後の活躍と安全を祈ってこちらを作りました。」
「ありがとうございますリスト殿。こちらはどういった物で?」
「能力を1.5倍に引き上げるイヤリングです。」
ちなみに、勇者の戦い方は創造魔法で世界の理に自分に有利な補正を打ち立て圧倒的火力で押し切るものである。創造魔法は全てに優先されるので改変魔法を持ってしても改変することはできない。つまりは最強のバッファーである。バフとイヤリングの効果はもちろん重複するのでぶっ壊れ勇者爆誕である。申し訳程度の代償としてバフを自分にしか掛けられないが。
「かなり高そうですが、、、、」
「勇者殿の命ひいては全人類の命に比べれば安いものです。だた、気になるであれば出世払いでお願いします。」
貸し1つである。事実高いし。この後は歓迎パーティーやらなんやらあったが問題は無かった。
勇者を歓迎してから一週間が経った。この一週間の間に魔王は出現し、魔王軍を組織していたらしい。魔王軍らしき集団が発見されたので勇者と兵士達が奇襲を仕掛けたとの事。先手を取って見事に鏖殺したらしいが勇者の右腕が千切れたと報告があった。曰く「力加減を間違えた」との事らしい。創造魔法で直ぐ再生したので、大事には至らなかったようで何よりだが。バフの掛かり方が尋常じゃないと興奮気味に言っていたそうだ。あれ?これ、アイテムのせいじゃねー?どこまで補正が掛かるか検証せずにテキトウな説明した俺のせいじゃねー?創造魔法の効果にまで補正かかってるじゃん!安全祈ったのに傷つけてるじゃん!何か恨みを買ったら怖いし見舞いいくか。
なお、当の勇者はリストデルに対する好感度がupした模様。
力の加減を間違えた自分が悪いとも理解していた。
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