スキルは補助輪でした。あなたの才能伸ばします。
コトスケ5
異世界に呼ばれた教師
第1話
某所某日、その日、病院に入院していた老人の元を多くの人が訪れていた。
「先生、斎藤です。覚えていますか?あの悪たれだった悪ガキですよ。見て下さい、あなたに憧れて今では教師をやっています。あのどうしようもなかった私を見捨てずに、あなたはずっと寄り添ってくれた。ずっと感謝していたんです。今の教育現場は色々と大変です。昔の様には行きません。ですがそれでもかつてのあなたの様に子供達を導けるように精進していくつもりです。」
「先生、覚えていますか?伊藤です。いじめを受けて引きこもってしまった私の元に何度も何度も足を運んでくださいましたね?そんな先生に向かって私は酷い言葉を言い続けたと思います。でも今にして思えば、両親以外であんなに心配してくれる人が居るというのは心強かったのを覚えています。先生に勧められた通信学校を卒業して今では立派に会社員をやっていますよ。あの時はありがとうございました。」
「先生、このトロフィーを見て下さい。教えて頂いた剣道で世界大会を優勝して来ました。一度は剣の道をあきらめかけた私に再び剣を握れと言って下さった事にとても感謝しています。先生と過ごした稽古の日々はかけがえのない物です。私もいつか先生の様に人に道を示せるように剣の道を邁進していきます。ありがとうございました!!」
病室を訪れた人達は、かつてお世話になった先生にお礼を言い病室を離れて行く。話しかける人々に老人からの返事は無い。なぜならば老人の意識はすでになく、体には生命維持装置の管が数多く繋がれベッドに横になっているからだった。
最後に老人の元を訪れたのは老婆。老人の奥さんだった。
「あなた、皆さん大変感謝していますよ。家で毎日あの子にはどういう教育が良いのか。家庭状況の改善に介入していいのかなんて悩み続け、導いて来た結果ですね。こんなに多くの人に感謝される事をして来たあなたの事を私は誇りに思います。お疲れ様でした。」
すでに心電図も止まり生命維持装置は外されていた。だが老婆には彼が笑ったように見えたと言う。
京藤進 享年110歳 最後は病院のベッドの上で教え子と玄孫に見送られながらその人生に幕を閉じた・・・・・・はずだった。
『進さん、あなたの力が必要なんです。』
~~~~~~~~~~~~~
「う~ん・・・・・ここは何処でしょう?」
気が付けばあたり一面が雲の中の様な、白い靄に光りが溢れた空間に居ました。確か自分はもう死んだはずでは?最後に自分の体と、横で泣いている妻を見た記憶がありますがあれが幽体離脱という奴ですかね?
『進さん。あなたは確かに亡くなりました。』
白い靄の中から、きらきらと不思議な光りを放つケープを身に纏った女性がこちらに向かって歩み寄って来ました。神も瞳も虹色に光り輝き、常に色を変化させている。なんとも不思議で美しい人ですね・・・・。
『美しいだなんて、照れてしまいます。』
「おや?自分は口に出していましたか?」
『いいえ、口に出してはいませんでしたよ。失礼とは思いましたが、少し頭の中を読ませて頂きました。』
なんと!!その様な事が出来るとはこの人は超能力者か何かでしょうか?それにこの場所は??私は一体どうなっているのでしょう?何やら体が光り輝いているように見えますが・・・。
『私は超能力者でも、ましてや宇宙人でもありませんよ。あなた達の言葉でいう神様の一人です。異世界のと頭に付きますが。そしてこの場所はあの世とこの世の狭間。魂が輪廻に向かう街道の途中です。訳在ってあなたの魂をこの場で留めさせて頂きました。』
「なんと!神様が実在していたとは驚きですね。つまり私は今魂だけの状態で、体だと思っているこれは魂そのものと、とても興味深いですね・・・・。おっとこれは失礼しました。そのような高貴な方とはつゆ知れず失礼をしました。」
『いえ、高貴でも何でもありませんよ。自分の管理する世界すら守れない、出来損ないの神ですから。』
肩を落としながら表情を暗くする女神様。その姿はかつての教え子達が問題を抱えている時の表情と重なってしまいます。どうにかしてあげたいと思ってしまうのは魂にまで刻まれた職業病なのかもしれませんね。
「自分で力になれるかは分かりませんが、悩みを相談してみませんか?人に話をするだけでも楽になると言います。私で良ければお聞きしますよ?」
『ふふ、私がなぜこのような事をしたのかという説明もしなければいけませんからお話をさせて頂きますね。』
笑顔を見せる女神様、一瞬不敬になるかもと思っていましたが笑って貰えたのだったら大丈夫でしょう。それに、世界を管理するなんて大変な仕事をされているのです。私の力で役に立つなら聞いて差し上げたいですね。
『では私の管理する世界の話から始めさせて頂きますね。』
女神様の名前はタレス様、管理する世界の名はタレス・ルトキンというそうです。その世界には魔法と呼ばれる不思議な力と、人の才能を現すスキルという物があるのだそうです。
魔物という人類共通の敵も居るその世界で、人は魔物との生存競争を生き抜きながらなんとか生存している状態であると女神様は言います。
そしてこのスキルという物が問題でした。女神様は最初、魔法という力だけで人が魔物との生存競争に生き残れると考えていました。ですが魔法を使うには才能が必要で、才能があっても目に見えない、使うには感覚的な事を理解しないと行けない事から使用者が中々増えずに生存圏を魔物に奪われ続けてしまったんだそうです。
そこで女神様は人の才能を可視化する事を思い付きます。さらには魔法だけではなく才能全般を可視化して補助する機能を付けた物をスキルと名付けて人類に授けました。
しかし、人類はそこで勘違いをしてしまったのです。スキルは神から与えられた恩恵であり、スキルこそが絶対であるのだと。
スキルにはその人の才能が現れ、どのように使うのか、どうすれば良いのかが聞こえる仕様になっていました。その事が仇になってしまったのです。女神さまとしては音声ガイドのつもりで作った物がまさか絶対視されるとは思っても居なかったとか。
人々はスキルに溺れ、スキルレベルを上げる事に邁進しました。スキルレベルが上がるという事は、自分の才能が潰れるという事と同義。それでもその人の才能を元に戻そうとスキル機能が独自に進化、スキルが体の動きを補助し始めるとさらに人類はスキルに傾倒していき、自身の才能を食いつぶし続けているのだそうです。
『本来であればスキル機能で才能に関係する技能を習得すればスキルは消えるはずだったのです。ですが見えてしまう事がここまで影響を与えるとは思っても居ませんでした。』
「なるほど、それは大変でしたね。ですが管理する世界を守る為に行った事です。不測の事態が起こったとしても、どうにか人を救おうとした女神様の努力を自分は賞賛したいと思います。」
魔物を女神様がどうにか出来ないのか?神様というのなら神託でスキルの真実を伝えられないのか?思う所は沢山ありますが、相談を受ける時はまず相手の話を全て聞いてから自分の意見を言うべきだと思います。それに女神様が行って来たことは立派な事です。卑下する事はありません。
『ふふふ、私は思考が読めるんですよ?でも気を使って下さってありがとうございます。』
「そうでした。これは失礼を致しました。」
『いえいえ、お気になさらないで下さい。進さんの疑問ですが、魔物は世界のバグとでも言える存在なのです。そしてすでにあの世界に定着してしまった魔物は消し去ることは出来ません。神託に関しましても、昔は出来たのですがスキルを重要視するあまり正確に神託を下せる者が居なくなり連絡出来なくなったのです。』
「なるほど、それは大変でしたでしょう。どうにかしたくても自分ではどうにも出来ないというのはとても辛い事です。」
『はい・・・・。ですから元の世界で数多くの人々を教育してきた進さんに協力して頂きたいんです。』
なるほど、これからが本題というわけですね?自分で力になれる事があると良いのですが・・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
2022/8/1 どうもー。初めましての方は初めまして、他の作品を呼んだ事あるよという方はお久しぶりです!!カクヨムでしがない文字書きをしているkotosuke5と申します。
今回はファンタジー物で主人公を教師にしてみました!!実はこの作品、ドラゴンズノベルコンテストに出そうとして間に合わなかった作品となります。さすがに募集2日前に書き始めて10万文字は無理じゃった・・・。3万文字しか書けなかったよ・・・。
あらすじの所にも書きましたが、私は教師をやっと事なければ教育の現場に居た事もありません。知らない知識をネットから引っ張り出して書いて行きますので、現場を知っている人から見たら ん? と疑問に思われる事も多々あるかと思います。ですがそこは空想の世界と言う事でお目こぼしして頂ければと。
ストックが終るまでは毎日更新します。ストックが切れたら不定期更新となりますのでご了承下さい。
ではでは、この物語をどうか楽しんでくださいね。
あっ!興味のある方は私の代表作とカクヨムで表示されるこちら(https://kakuyomu.jp/works/16816927861985173965)もご覧ください。ではでは(´∀`*)ノシ
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