〜大いなる旅立ち〜 いざ京の都へ。1

出立の日。



雲一つ無い青空は、私達の旅の吉を祝福するかの様だった。



『殿、お気を付けて。』



『ああ、留守を任せたぞ。』



将門様の旅の無事を祈る様に、家中の皆んなが別れの挨拶に来ていた。



『アヤメ、五月の姿が見えんが、何処に在るや知っておるか?』



『いえ……。』



きっと、留守番になって不貞腐れてるんだろうなぁ。



五月の性格からして、間違い無い。



『私、探して来ます!』



私は、居館の中へと戻って五月を探した。



『五月ぃ〜〜??』



すると、五月は自分の部屋の隅で蹲っていた。



『五月……。』



肩をいからして泣いていた。



そうだよね。



将門様とも私とも、会えなくなっちゃうんだからね。



『あ、あのね。』



そう言って、私が五月の肩に手を掛けようとした時、五月はくるっと翻って仁王立ちした!



『私は寂しくて泣いてるんじゃ無いの!!』



『えっ??』



五月の瞳には涙が溢れんばかりに溜まっていた。



そして、私に抱きついた。




『うわぁぁーーん!』



『さ、五月っ??』



『アヤメとは、もう会えない気がしてぇーーっ!』



泣きじゃくってしがみ付く、五月に愛おしさを感じで、そっと頭をそっと撫でた。



『そんな事無いよ。

私達はいつも一緒だよ。』



『わあぁーーんっ!』



『私は必ず帰って来るよ。』



『や、約束する?』



五月が不安そうに、上目遣いで見詰める瞳に、笑顔で応えた。



『もちろんっ!』




それからやっと五月も門前へとやって来た。



『五月、離れ離れになっても、私達は繋がってる。

必ずまた会おう。』




そう、この時代の下総から京までの道には、何が待ち受けているか分からない。


山賊や、強盗、追い剥ぎに出会すかもしれないし、山道には狼や野犬もいる。



危険がいっぱいだ。




五月が心配するのも分かる。




でも、もし京の都で私の記憶が取り戻せるなら。




取り戻せたなら、将門様や五月に少しでも力になれるかな??






そして、私を含めた将門様の一行は、京の都を目指して出発した。

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