第33話 商業ギルドの最後
「ふっ、今度は我々が多分、粛清の対象なのでしょうな」
「しかし、国も甘いな、我々商業ギルドが気がついていないと」
「情報を制する事なく冨は得られない」
「そうだ、貴族にまで根強く張られた、我々を罰する事など王とて不可能」
「だが、どうする?」
「傀儡を用意すれば良い、誰か1人に罪を着せて...自殺させる、それだけで終わりだ」
暗闇の中で話し合いは進められていた。
この話は商業ギルドの中心人物、五大老とギルマスの6人の話だ。
今迄も追及されると、トカゲのしっぽ切りで終わらせてきた。
有力貴族を後ろ盾に持つ彼等にはそれで充分だった。
万が一可笑しな話があっても、握りつぶして貰える。
だが、今回は違った。
王が肝いりで行い、宰相が動いている以上【後ろ盾】は機能しなかった。
いきなり扉が蹴破られた。
「商業ギルド、ギルマス、ドルマン他幹部、横領及び貴族の財産に手を掛けた事で連行する」
ジェイク他騎士が一斉に雪崩れ込んできた。
「馬鹿な、何故我らの動きが解ったのだ」
「ふぅ、ドルマン、今回は超法規手段で動いている、ローゼン様が中心にな、だから【中間の手続き】を全部すっ飛ばしている、諦めるんだな」
「ふぅ、今回は我々の負けのようだな、仕方ないセレナ殿には多分な利息をつけて財産を返そう」
「商業ギルドが傾きますが仕方ありませんな」
「...」
「ふあははっ、所詮は騎士、我々が怖くて動けないのですか?、貴族ですら逆らえないんだからね」
騎士は溜息をついた。
「豚が騒ぐんじゃねーよ、もうお前らの家族は既に罰を受けている、そしてお前等はたった今、この時から【人として扱われない】」
「なっ、そんな口を叩いて良いのですか? 我々は貴族にも多数の金額を融資しているのですよ? 貴族すら我々は自由に操れるのですよ...」
本当に馬鹿だな。
「その貴族様達からの伝言だ【我々は人間なのだ、豚とは取引しない】だそうだ」
「何だね、それは」
「お前等、商業ギルドなら法律は解るだろう? 貴族の財産に手をつけた者は【市民権を含み全てを奪われ国外追放】だ」
「なっ、だがそれは適応された事は無い筈だ」
「お前等はついてなかったな、貸し付けたお金を理由に貴族を利用してきたんだろう? その借金をがチャラになると話したら頼みの侯爵様を含み全員協力してくれたよ」
「ななななっ、それで家族はどうなったのだ」
「はははっ、余程恨みがあったんだろうな? 全てを奪われるのだから【女子供は裸で何も持たない状態】でゴブリンの森に捨てて来た、運が悪ければ、ゴブリンの苗床、運が良ければ盗賊か冒険者に拾われ慰み者か奴隷じゃ無いか? まぁ王国に持ってきても入れないから王国にきた時点でまた捨てられるな」
「貴様ら、それでも人間か?」
「そんな事より、自分達のこれからを考えた方が良いだろう」
「ふっ、終わりだ...じたばたせんよ」
彼等は【女子供】の事しかしてなかった。
では男はどうなったのだろうか?
貴族としては是非死んで欲しいのだ...だから【ワイバーンの谷】に捨てられた。
裸でこんな所に捨てられたら、ただのエサだ。
生きて何処かにたどり着くなんて事は絶対に無いだろう。
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