勇者殺し ~普通の人間が勇者を殺す方法~

石のやっさん

第1話 非道勇者の死

「えへへ..勇者様、私を犯して下さいよ..楽しませますよ..えへへへ」


「もうお前にも飽きたんだが..仕方ない抱いてやるよ、その代わり朝まで..楽しませろよ..」



「はい、レイラ..頑張っちゃいますよえへへっ」






「可哀想にレイラさん、頭が狂っちゃんたんだな、あんなに可笑しくなって」


「あの服、娼婦どころかほぼ裸じゃない..」



「可哀想だから見ないでおやり、それがせめてもの情けだ」


「そりゃ、頭も可笑しくなるだろうよ..新婚だったのに、旦那が殺されて、目の前で子供まで殺されちゃ」


「その挙句に犯されたんだろう..旦那や子供の死体の傍で」


「ああなっても仕方ない..」


「しかし、頭が可笑しくなったとはいえ良く、ああも自分の家族を殺した相手に懸想するよな..」


「余程の事だったんだろうよ、感情が可笑しくなる位な..見ないであげる..それしか無いよ」


「そうだな」





勇者支援法、この世界は勇者には凄く優しい。


勇者であれば基本、何でも許される。


文句を言えるのも、貴族階級以上だけだ。


その貴族階級も文句が言えるだけで勇者が従う義務が無い。



だから、勇者はやりたい放題出来る。


衛士も、騎士さえも見ないふりしている。


いや、見ないふりしか出来ない。


魔王すら単独で倒した勇者ケビン、騎士だろうと衛士だろうと敵う訳が無い。


少し前に、犯罪ギルドに「暗殺」の依頼があった。


沢山の人間がお金を集め、最強の暗殺者に依頼した。


犯罪ギルドのSランク、「闇の帝王」が引き受けてくれたが..



瞬殺された。話によると闇の帝王は、剣すら抜けなかったようだ。


その結果..誰もが手を出せなくなった。



表では「勇者支援法」があり、勇者は何をしても許される。


裏で処分しようにも、強すぎて相手にならない...最早手が付けられない。




「最早、お前など勇者ではない..死ね」


「勝てる訳ないだろう..聖騎士とはいえな、勇者に手を挙げたんだ死ぬが良い」



聖騎士、ゾットの首が飛んだ。




「可哀想に、聖騎士様の娘さんも犯されて殺されたんだろう」


「いや、自殺だと聞いたぞ」


「婚約が決まったのに、犯されたから話が流れたんだ..それで自殺したんだよ..殺されたような物だ」




「今、思えば、レイラさん、頭が可笑しいなりに街を守ってくれてたのかもな..」


「あの人、正義感が強いからな..あり得る」


「勇者に変態呼ばわりされても、懸想して相手してた..あれはもしかしたら、他に犠牲を出さないように頑張っていたのかもな」



「そう言えばレイラさん見ないな」


「頭が可笑しくなる位、毎日犯されていたんだ..死んだんじゃないか?」


「そうか、可哀想に」




それから15年が経った。


勇者ケビンは侯爵の地位を貰った。


勇者には地位は関係ない、ただ名前がついただけだ。


意外な事に、侯爵家の娘に心底惚れあれ程、女を犯したり非道をしていた勇者が真面になっていった。


最初、侯爵家は警戒していたが、「真面になる」そう誓った勇者を様子見する事にした。


しかも、令嬢とは恋愛で結婚するまで指一本触れなかった。


過去の汚名を晴らすべく、国の為につくす、勇者の姿に侯爵家は警戒を解き結婚を許した。


愛する妻を貰い、落ち着いたのか本当に「良い人間」になった。


侯爵になった、勇者は過去の非道を恥じ..自分の記憶にある家に充分すぎるほどの見舞金を払い詫びた。



二人の間には女の子が生まれ、目に入れても痛くない程可愛がっていた。



そんな、ある日の事...勇者ケビンが、死体で発見された。


ケビンは片目が潰され、両手、両足を切断されていた、舌もかみ切られていた。


だが、ケビンの死因は..それでは無い..自ら頭を打ち付けて死んでいた。


頭はひびが入り砕けている。


そして、その横で、妻も、娘も犯され死んでいた。



当初、魔族による報復を疑ったが..違っていた。



勇者を殺したのは...



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