違う、ただ美少女が好きなだけだって。

第1話 違う、そうじゃない

「あー、彼女欲しいなぁ～。」

雪がいうと、なんだか普通の男子高校生のように聞こえる。

クラスの王子様と言われる雪と、アニメの話をしていた。

雪は、スラックスを着用していて、ショートヘア。

隣のクラスでは王子様だと噂されてる。

だからといって、私を姫と呼ぶのは辞めてほしい。

「わかる！なんかさ？恋愛対象は男なんだけど彼女欲しいなぁ～ってなるよねぇ…」

美少女アニメしか見ないので、なかなか話が合う人は貴重だ。

雪と過ごす時間がなんとなく心地良い。　

「え、違うの？」

「え？」

恋愛対象が男だと言ったら驚かれた。私女だが?

「え？恋愛対象男なのに美少女好きなの？」

雪はめっちゃ慌てた様子で私に話しかける。

「…そうだけど？」

やっぱり、オタクはキモいのかなぁ？

「え…？えっ…？マジ？」

「いや、マジだけど。どしたん、雪。」　

雪の顔面蒼白である。

そんなっ！？そんな驚くことっ！？

確かに中学校まではオタク隠してたから気づかなかったけど…。

まぁ、男向けも見る女子はいても男向けしか見ない女子は居らんよな。

…いや、前から知ってたよね？あれ？

「ごめん、トイレ行ってくる…」

「おっけ、いてらー」

いつもなら、一緒にトイレ行こーって言ってくるのに。

なんか余所余所しくて草。どしたんだろ？