愛と雪空

@syuki0000

第1話

[さようなら]

そう言われてもう一年、いや二年が経った。あの日は雪が降っていた。クリスマス直前のその日に、僕は彼女に告白をした。そして振られた。その瞬間、今まで気にならなかった雪の冷たさが、押し寄せるように感じたのを今でも覚えている。あの日以降、僕の中で雪は降り続いていた。最愛の彼女に振られ、すっかり生きる活力を無くしてしまった。仕事もまるで手に付かず、自分でも抜け殻の様だと思う。忘れたくても忘れられない、そんな彼女だった。スマホに電源を入れ、彼女とのLINEの履歴を見る。遡ってみると、僕たちの見るのも恥ずかしいほど愛し合っていた形跡があった。水族館の写真、無理矢理連れてかれたプリクラ、その他諸々。あぁ、あの時はこんなに輝いていたんだ、と僕はしみじみ思った。スクロールをして行くうちに、一番下までついた。そこには、僕からの電話や、復縁を頼む言葉が積み重なっており、一つとして既読すらついていなかった。気持ちがどんどん沈んでいく...

携帯の電源を落とし布団に投げ捨てようとした、その時だった

[ピロリン]

と、いつぶりに聞いたかわからない通知音が鳴り、一つのメッセージが送られてきた。送信者は高井凛。彼女だった。静かに舞い上がる気持ちを抑えメッセージ見る。その瞬間、雪が恐ろしいほど冷たくなった。

[凛が亡くなりました。葬式に出席して下さい]


訳が分からなかった。


僕は彼女の、高井凛のいる墓の前で立ち尽くしていた。凛の母によると、凛は心臓の病気を持っていて、余命も宣告されていた。そしてそれを、僕には黙っていた。凛の部屋には音声付きのメッセージが残されていた。

[何で言ってくれなかったんだよ]

気づいたあげられなかった。そんな後悔の気持ちが体の奥から湧き出てくる。

[大好きだったよ、涼] 久しぶりに聞いた、僕の名前を呼ぶ彼女の声に、僕は、泣いた。

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