左利きの彼
ちょん
01
「今大丈夫?」
「全然大丈夫だよ~、どうしたの?」
「今日の課題わかんないところがあって教えてほしいんだけど、大丈夫かな」
「大丈夫だよ。あ、私も今日の数学でわかんないところあったから教えてほしいな」
「鈴野、数学苦手だもんね」
フハハと笑う左利きの彼こと新井と知り合ったのは、私たちが高校1年生の時だった。同じクラスになった際に私の親戚と友達だったため、話してみたらいいやつで連絡先を聞かれ交換した。そこから連絡をとりあうようになった。
私たちの間で、特に友達という言葉はなかったが、気づいたら一緒にいるのが当たり前の存在になっていた。
「2人って付き合ってるの?」
2人同時にだいたいこういう風に聞かれることが多いが、2人してそれを笑いながら否定した。
新井は見た目はいいが、無愛想で大人しく、なかなか女子と話さない。そこも含めて隠れファンが多くいた。ちなみに新井に聞いたことがあった。
「ねえ、新井ってどうして彼女作らないの?この間隣のクラスのかわいい子に告白されたんでしょ。」
「だって俺別に恋愛なんて興味ないし。面倒くさいじゃん、恋愛って」
「そんなこといってみたいものだよー。新井のくせに生意気ー」
「なんだよ、聞いてきたのは鈴野だろー」
私たちは同時にフハハと笑った。新井のことを異性として1度も見たことがないというと嘘になるが、この心地いい関係が壊れることが怖かった。どうでもいい話をすることができなくなることがどうしても嫌だったために私の気持ちを押し殺したときもある。
新井とは結局高校3年間同じクラスだった。
左利きの彼 ちょん @c_lily
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