第75話 最終話 ありがとう

その後も僕は..自分にとって人間に見える人を探し続けた。


だが..幾ら探しても見つからなかった。


勿論、世界中探せば見つかるのかも知れない..だけど、ネットに写っている写真をくまなく見ても居ない。


希望を込めて..自分の彼女達に、自分に似ている人をデート中に指さして貰った事もあった。


だが...見えた相手は..同じ髪型、同じスタイルの化け物にしか見えなかった。


この世界で僕にとって人間に見えるのは、僕の周りの僅かな人達だけだ..


だが、その僅かな人は皆んな僕を愛してくれている...幸せだ。


元の世界ではすべての人が人間に見える..だけど、僕を見てくれる人は誰も居なかった。


そう考えればこの世界の人は...化け物に見える人も含んで..皆んなが僕に優しい。


どちらが幸せか考えてみたら...今の方が幸せに決まっている。


結局..僕はこの世界で大切な人達と小さな世界を作って楽しく生きていく。


彼女達や東吾くん以外は化け物に見えるけど...その化け物はとても優しい化け物だ。


最近では化け物も...怖くなくなった..東吾くんの彼女の南条麗華を見ていたら..慣れた。


そして、東吾くんと仲良くしている麗華を見ていたら..あれはあれで良いのだと頭で理解できた。


僕は、この不思議な世界でこれからも生きていく。


僕の瞳は腐っているのかも知れない、だけど..愛くるしく僕の傍にいる彼女達を見る度に思うんだ。


「この目で良かった」と...だって彼女達は性格も全て良い娘達だから...


そんな娘と出会わせてくれたこの目に感謝だ。


ありがとう..。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る