私室幻想
フラワー
第1話
袖に触れる夕日の匂い。秋には空が広く映る私室の窓は、風が通り込むたびに、揺れる布へと匂いを運ぶ。
繰り返される日ごとの暮れが、秋へと伸びた私の数年に染められて、虫の羽に反射する。まるで薬品に漬けたままの昆虫のように白濁した室内は、蛍光灯の帯びた熱に混じると、そのスケッチへと緩やかに溶けていった。
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