二三話:ミオちゃんは○○○○?

 神官服の彼女は立ち上がろうとすると、ふらりと態勢を崩した。




「あ……」




 この日最速の動きで、俺は彼女を支える。




「大丈夫? ミオちゃん」




「は、はい。 少し立ち眩みがしただけですので……。 あ、あの、もう大丈夫ですよ?」




 柔らかな感触を合法的に堪能していたのだが。


押し付けられる胸元はもちろん、腰に手をまわし形の良いお尻を支えている。


ミオちゃんが恥ずかしそうに頬を染めるのがたまらない。






「これって触っても平気なのか?」




「……やめておけ」




「怪しさ全開だよ……」




 俺たちのことではない。


 ボスのドロップアイテム。


禍々しい黒い宝玉。 触ったら呪われそう。




「アマシロ様に、お見せした方が良いかもしれません」




 俺の魔手から離れたミオちゃんが呟く。




「アマシロ様?」




「はい。 天人族のアマシロ様です。 守護獣の卵を狙った魔族を追っていたそうで、現在はラサース村の神殿に滞在されています」




 卵を狙ったって、チュートリアルの魔族か。


空を飛んでた人がアマシロ様なのかね。




「神聖魔法もアマシロ様にご教授頂いたのです。 ……まだまだ練習中なんですけどね?」




 使ったことは内密にお願いしますね。 とミオちゃんが口元に人差し指を立てて微笑む。 いいでしょう。 二人だけの秘密だね!


 


「本来、私ではまだ使うことのできない魔法です。 体への負荷がかかるため戦闘では禁止されていますので……」




 それなのに無理してくれたというのか!?


 嗚呼、ミオちゃんと温泉に入りたい。 NPCでもギルドアイランドにご招待できるのだろうか?




「『あいてむぼっくす』に収納してもらえますか?」




 俺がムフフな妄想に浸っていると、回収するように促される。


普通は勝手に入ってくれるのだけど、イベントだからなのかな。




「よし! さっさそく報告にもどろうぜ!」




 ゲンジが折れた長剣のことなど忘れたかのように陽気に振る舞い。


折れた長剣をシオンが渡すと、萎れたミカンのように項垂れて帰路につく。




「俺もいっぱいクエスト報告があるな……」




 お使いクエストや、討伐、採取、収集系クエスト。


報告するのも一苦労。 まぁ報酬を貰うのは楽しいけど。






◇◆◇






 ミオちゃんたちとは一旦別れ、クエストの報告中。




「おお……これが孫娘の敵……ゴブリンの首……ぐぐぅ……」




 おかしいな。




「憎くきゴブリンどもを退治していただき……感謝ですじゃ……」




 感涙の涙を流す村長。


皺くちゃの川をきらりと水が流れた。




 報酬貰ってニンマリとはいかず、スキップできない演出にゴリゴリと精神を削られる。


 無視して立ち去ってもいいんだけどね。 でもそれも味気ない。




「やっと終わった……」




 残りは覚醒クエストの報告だけ。


神殿に報告に行かないと。 ついでにさっきの黒い宝玉についても聞かないと。




「ステータス」




――――――――――――――


名前:ノリオ


クラス:アサシン


種族:ヒューマン


レベル:100→101


ギルド:暁の月




HP:1130


MP:600




力:122


体力:113


敏捷:180


器用:64


知力:9


精神:60


SP:0→5




スキル:【短剣.Lv20】【投擲.Lv20】【バックスタブ.Lv20】【ハイド.Lv20】


スキルポイント:17→18




物理攻撃力:251


魔法攻撃力:10


クリティカル:2.5倍(クラスボーナス+0.5)


攻撃速度:55




物理防御:52%


対火炎属性:5%


対風雷属性:7%


対水氷属性:0%


対土岩属性:0%


ダメージ軽減:0%




装備




武器:【レイダーダーク】


胴:【レッドファングレザー+1】


腰:【アイテムポーチ】


腕:【レイダーグローブ】


脚:【スファギのブーツ+1】


アクセサリー:【強襲の指輪+2】【ライデンリング】


―――――――――――――――――――――――――――― 




 


 数時間のクエストもレベルは一アップだけ。


初心者用のレベルアップボーナスは百までらしいので、ここからは上げるのが大変そうだ。


 


 そういえば装備が少し変わってる。


昨日露店で買ってもらった胴装備とアクセサリー。 ライデンリングとあるけど腕に着ける腕輪だ。 あまり派手なのは好きじゃないけど、腕にぴったりとくっつくタイプの細い青いブレスレッドなので、凄い気に入ってる。 贈ってくれたレフィーさんには感謝しきれないね。




 アルマにもレッドファングレザーを貰った。


黒字に赤い刺繍が少し入った物で、こちらもゴツゴツしたものではなく、動きやすいオシャレなデザインでお気に入り。




「うーん。 お返し、しないとなぁ……」




 どうせなら良い物だ。


何がいいかなぁ……。




「ノリオー! こっちこっち!!」




 ぼうっとラサース村の神殿に入ると、ゲンジが叫び手を振っていた。


神殿では静かにと習わなかったのか? あれ、図書館だっけ?




 俺は司祭NPCである白髪の老人に覚醒クエストの報告を行う。




「おお。 無事に契約者としてのお役目を果たしましたね。 貴方に神のご加護を」




 加護はいいから、報酬をください。


 司祭が手をかざすと俺の周りを光のエフェクトが回り、どこからか光の羽が舞い始める。 




ピロロン。




+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++




 覚醒クエストを完了しました。


 報酬として以下を獲得しました。




 ステータスポイント 100ポイント


 スキルポイント 100ポイント




 コルルの進化が可能になりました。




+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++






「おお……!」




 思ってたよりポイント多いな。


 スキルポイントなんて百レベル分なんだけど。




「シトリ・ステータス」




―――――――――――――――


名前:シトリ


種族:守護獣 卵型


レベル:100




HP:10


MP:10




力:1


体力:1


敏捷:1


器用:1


知力:1


精神:1


SP:500




スキル:【幸運Lv.20】【鼓舞Lv.20】【ふるふるLv.20】


スキルポイント:43




物理攻撃力:1


魔法攻撃力:1


クリティカル:2倍


攻撃速度:1




物理防御:0%


対火炎属性:0%


対風雷属性:0%


対水氷属性:0%


対土岩属性:0%


ダメージ軽減:0%




―――――――――――――――






 実はシトリさん百レベルなんだけど。




 ステータスポイントはまったく振ってない。 進化後にどういった変化をするのか分からないからだ。 シュララのように体力型かもしれないし、虎徹のように敏捷型にするとか。 また知能や精神に振る魔法型に進化するかもしれない。 




 別に好きに、適当に振ってもいいんだけど。 スキルや戦い方に合わせて振るほうが強くなれるので、現在はポイントはとってあるのだ。




「よしよし! 進化すれば一緒に戦えるな?」




「!」




 シトリはふるえながら飛び跳ねる。


今でも一緒には戦っているけど。 もっとこう、アクティブな感じで戦ってほしいよね?




「ノリオ様。 アマシロ様がお待ちです」




 奥の扉から出てきたミオちゃん。


相変わらずの巨乳が神官服を押し上げ、安産型のお尻が魅惑のラインを作る。




(……はいてない?)




 ショーツのラインがない……だと?




「ノリオ様……?」




「はい! 行きます、今すぐ、行きますよ!!」




 落ち着け。 ゲームの世界だもの。 浮き上がるショーツのラインなんて表現されていないだけかもしれない。




 そう、神官服の下に何もはいていないなんてあるわけないだろう。




 ……ノーパンなんて、あるわけないよね?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る