第05話、巫女の少女は実家の神社を助けたい
「お話し中、失礼いたします――」
透明感のある声に振り返ると、
「天の気をあやつるとは、
俺の前に歩み出ると、いきなり手を合わせた。
「いや、そんな大層なもんじゃねえよ、あははっ」
困った俺が口を開けて笑うと、
「まあ、なんてかわいらしい牙!」
と声を高くして両手で口元をおおった。「龍神さま、そのような大切なものを
「だから俺は龍神さまじゃねえって」
「いいえ、空に語りかけて雨を降らせ、呪文詠唱もなく結界を張り、井戸の水を意のままにあやつる―― これらはまさに龍神さまのお力!」
早口でまくし立てた少女は、はっとした。「あっ、ご紹介が遅れました! わたくし
あわてて深々と頭を下げる。
「おいおいやめてくんねえ、そんなかしこまるこたぁねえよ」
俺は
「あ~、高山神社って五穀豊穣・子孫繁栄・子宝祈願で有名な――」
失礼なこと言うなよ、とたしなめる前に
悲しげにうつむいていた
「いや――」
反論しかけた俺をさえぎって
「いいわねそれ! あたしが教祖やるわ。がっぽりもうけるわよっ」
「あんたがもうけてどうすんだ」
つっこむ俺に、
「
しれっと言いやがる。俺の取り分なしかよ。
「そんな困ってるんなら、なんとかしてやりてぇな……」
「学園祭で稼いだらどうです?」
口をはさんだのは瀬良師匠。魔力の使い過ぎで倒れた
「
……仮にも教師がそれを言うか!?
「そうね! この
「じゃ、頭を使うとこは任せたぜ、
それから祈り続けている
「心配すんな。俺らがなんとかしてやるからな」
「龍神さま、この榊
彼女の頬に笑みが戻った。
「だからその龍神さまってぇのはよしてくんな」
「でしたら―― 神様?」
きょとんと首をかしげる。さらりと肩をすべる黒髪が美しい。
「悪化してるじゃねえか……」
龍神さまのほうがまだマシである。
「お礼のしるしに
「は? いや――」
止める
「
うわーなんか始まった!
「ちょっ、やめ――
「龍神さまは
そんなん知らねえって。
「ではお
「俺まだ未成年だから酒飲まないよ」
「えーっとじゃあお米!」
「
「もーう! じゃあわたくしを捧げますわ! 感謝のしるしです!」
さけぶやいなや
「うわぁっ!」
俺はたたらを踏んで
「捧げものなんか必要ねぇよ。俺は友人としてあんたを助けるんだから」
つややかな黒髪をなでながら笑いかけると、彼女の顔がぱーっと明るくなった。
「
近づきがたい美人かと思いきや、笑えば年相応にかわいいじゃねえか。
「頼りにさせてくださいまし」
上目づかいに俺をみつめ、少し甘えた声を出す。
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