Root 20 ならば四部構成。


 ――そう思うのが妥当だ。これまでに起きた芸術棟の謎。あくまで四部、四部構成。


 それはジグソーパズルのよう。ピースを嵌め込んで始めて見えてくる、その中心にあるもの。僕は今一度、自身に問う。そして覚悟する。……何があっても揺らがないこと。


 偶然にも……


 いや、偶然だからこそ、巡り合えたこと。

 必定を上回る巡り合わせとも思えること。


 きっと怜央れお君なら否定する。怪奇現象とか偶然とか、普通に考えて割り切れないことが苦手なタイプだから。……それでも、それでも来てくれた、この地に。


 この芸術棟に。今、僕のいる二階のアトリエに。


「ありがと、来てくれて」


「ああ、僕は葉月はづきが一緒なら平気だ。純真無垢な、天使みたいな子だからな」


 それは、ありのままの僕……

 それは、このアトリエの場だから。


 身も心も裸になる場所。それどころか惜しみなく五感をもって僕は、あの人に近づこうと第六感も。時を惜しむ僕は、この時でさえも絵に打ち込む。……僅かな時間でも、僕には大切な時間。私学展も近く……このお話のコンクールの締め切りもまた近くで、確実に完結へと歩み寄っている。七不思議には遠いのかもしれないけど、でもきっと、核心には近づいていると思う。謎の根源はきっと、第七の不思議まで待てずに……


 そう思った時だ。時は来たれり。


 激しき物音が、この芸術棟そのものを包み込んだ。


『ヴ―』という、高校野球での試合開始を意味したサイレンのような役割にも似た『ドスン!』という音、叩きつける音。あの日と同じ音だ。脳内を過る一階での出来事……


 中村なかむら美路みちという人物は、今この時に、ベールを脱ごうとしている。


 僕の心は逸る。足はもうそちらに向くのだけど、「その前に服を着ような」と、怜央君は僕に声を掛けるも、その表情は満面な笑みを見せている。この先を占うように……



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