どこかのまちで

勝利だギューちゃん

第1話

高校生活も最後の年となった。

順当にいけば、来年の春に卒業だ。


僕の通う高校は、県内の私立高校で男女共学。


でも、彼女はおろか仲のいい女の子もいない。

周りを見る。

まっ、いらねーな。


みんな同じに見える。

区別がつかない。


「息子よ話がある」

その日の夜、両親に呼ばれた。

「名前で呼べ」

「一話完結だ。わざわざつけなくていい」

「反響が来たら、どうする」

「そんなもの好きはいない」


それはそれで悲しい。


「で、何の用だ?」

「実は、引っ越すことになった」

「あっそう。どこへ?」

「驚かないのか?」

「ああ」

「友達は?」

「いない」

「彼女は?」

「俺がいると思うか?」

「息子ながら、思わん」


それはそれで、悲しいな。


「で、どこへ?」

「〇〇県」

「隣接県じゃないか」

「だから、転校はしなくていい。よかったな、私立で」


ある意味悲しい。


で、翌週に引っ越したのだが・・・

隣の県なので誰にも言ってない。


相手もいないが・・・


しかし、社交辞令は必要。

近所の家に挨拶にまわる。


で、隣の家なのだが・・・


「今度、隣に引っ越してきた。〇〇です。よろしくお願いします」

でも、近所づきあいはないんだろうな」


「あら、〇〇くんじゃない。引っ越してきた人って、君だったのね」

眼の前の女性・・・僕と同い年の女の子か?


「あのう・・・どこかでお会いしたことありましたっけ?」

女の子は驚いている。


「毎日会ってるでしょ?私よ私・・・同じクラスの委員長の・・・」

僕はじっと見る・・・


「あっ、確か・・・梨絵・・・阿藤梨絵さん」

「思い出すの長すぎ」

そう言われても・・・


でも、嬉しそう感じる。

気のせいだろう・・・


「ここは、近所づきあいは重視しているから、覚悟しておいてね」

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どこかのまちで 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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