「今日はどこで遊ぶ？」

「サッカーしようよ」

「ライブに行くのもよくない？」

　朝のホームルームが始まる前にクラスメイト達は今日の放課後遊ぶ予定を立てていた。今時の子どもはバーチャル空間で遊ぶことがほとんどだ。しかし、僕は特にバーチャル空間でしたいこともなければ友達もいないのであまり利用することがない。

「ホームルーム始めるぞー」

　先生が教室に入り、生徒たちが全員席に着きホームルームが始まった。

「今日は連絡の前に転校生を紹介する。入ってきていいぞ」

　すると1人の女の子が入ってきた。髪の毛はボブの外ハネで目もぱっちりしていて整った顔立ちをしている。それを見てクラスがざわざわしはじめた。

「静かに。じゃあ軽く自己紹介お願い」

　先生は彼女に彼女にそう言うと隅にずれた。

「浅倉優菜です。よろしくお願いします」

「はい！みんな仲良くするんだぞ。じゃあ浅倉は後ろの奥の空いてる所に座ってくれ」

　先生は僕の隣の空いている席を指差してそう言った。ホームルームが終わると彼女の周りには数人の女の子が来て趣味や、どこからきたのかなどを聞かれていてすっかり人気者になっていた。僕はそのことには気にせず本を読んでいた。しかし、1時間目が始まる直前になり全員が席に着いたところで彼女に話しかけられた。

「その本私も読んだことあります」

　僕はいきなり話しかけられたので反応が遅れた。

「え…あ、面白いよね」

　人と話しなれていないため、なんとも変な回答になってしまった。

「その人の本よく読むんですか？」

「割と読んでるかな。余命系とかが好きだけど最近のAIが人間を支配するみたいのもおもしろかったな」

「私も好きです。おすすめの本とかあったら私にも教えてください」

「わかった。あと敬語使わなくてもいいよ。同い年なんだし」

「うん、わかった。そういえば君の名前なんて言うの？」

「佐藤勇人（はやと）だよ」

「勇人くんねこれからよろしくね」

　普段人と話さないからしっかり話せているか不安になっているうちに授業が始まり、会話はそこで終了した。

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