極悪狼の群れと悪兎

食連星

第1話

おぉ…

まじか。


おっぱい口に含んじゃって…

何てこと?これ。

思うように動けないし、

あちこち支えられてる感

満載。


ふっつうに

生きてた感じしたのに。

ブレーキ無しで急坂下ったら、

どこまで速度つけられるのかの実験だった。

俺の相棒、ピッカピカのチャリ機。

どうなったんだっけ。

俺…

どうなんだっけ。

結構いくんだ!!今速度どの位!?なぁんて

風感じて、

辿り着いたのが、ここ?


え…

まじもん?


どう見積もっても

赤子転生だろ。

流行りの?

もう今や少しありふれた感じの?


はぁ…

どうやらレースのふりふり着せられてますよ。

股すかすか。

喋ってるつもりでも

あーか

だーか

泣けるだけ。

つまんない…


事もない。

母、美人。

同じ味も飽きるかと思いきや、

ホッとする。

ふわふわだし。


まぁ、もれなく

例外なく

順調に、ゆっくりと

穏やかに成長。

義務教育的な物はあって、

高校生くらいから訓練校に入る。

男だけ。

戦士として。


この世界は魔法が使えるらしい。

男だけ。

下半身に杖持ってる奴だけ。

阿保らし。


ふふん。

だけど、俺も素質持ってたんだよな。

だって、実質男だもん。

中身は杖持ってるぜ。

火球作る事が出来るので(ちいせぇけど)、

入学要項は満たせてた。

ただ、前例が無いって事と、

学校の中が女の子に対応出来てないからって、

ぎりぎりのぎりまで

待たされた。

待たされたけど…

特例って、何時の世界でもあるんだ。

やっほーい。

おっれ入学決まりー。


そうは言ったって、見た目は女の子だもん。

父母反対するわ、

祖父祖母に泣かれるわ、

幼馴染のアギには滅茶苦茶言われた。

如何に危ないとこに

単身で乗り込んでいくのか

説かれた。

そんなん説かれたって…

やれるからには

やるしかないでしょ。

向上心って必要だし。

なんか面白そう。


アギが助けてくれたら、いいんじゃんって。

かっるーく言ったら、

小突かれた。


MP尽きたら肉弾戦だからって?

体力ない奴は組み敷かれとけって?

そんなん冗談でしょ。

馬鹿なの?


何で女が力授けられてないかって?

だからこそ出来る事あるって。


この世界では,

四大元素すなわち「風」「土」「水」「火」の4つ.

らしい.

そういうのも学校行ったら学べる.

らしい.

もう,皆,又聞きだから,実際どうかだか分かんない.

相殺効果なんて,多分どこも一緒なんじゃないのかな.

あと光や闇とか加わったら…

もう本当に,どれがどうとか分かんない.

だって,あるんだよ.

あるんだけど.

ゲームやる時だって火力全振りだし.

他は,もうどうだっていい.属性優位とか…うん.

攻めは最大の防御でしょの勢いで,

勝つ気でいってる.

いってた…

もうゲームとかでは無くて,

そういう世界に入り込んじゃったんだって.

もう質素倹約みたいな健康的な生活は良いから

ジャンクフードを口が食べたがってる.

無いの.ねーんだっよっ.はぁ…


「風」「土」「水」「火」のクラス分け.

全体で50名程.

得意だろうと思われる属性で分けられるから,

クラスの人数まばら.

それぞれ

緑,茶,青,赤の制服,ローブ配られる.

支給品だから,新品って訳にはいかない.

大事にしてくださいよって,上からのお古が回ってくる.

名前も中入って付けられる.新しく.

名前によって,出自が分かるから.

皆おんなじですよっていう…

まぁ何といっても

パフォーマンスなんだろう.学園の.

言ってる事や態度で結構

分かる.色もそれなりに個性が出る感じ.


最初に習うのは,救難信号.

ポンと打ち上げて,助けを求める.

学生だから使える技.

これ実践でやってたら,

敵に囲まれる.

駄目な時に駄目なやつ

打ち込んじゃ駄目な奴になる.

なかなか出ない.

自分の色が出るはずなのに,

火球打ち上げて大目玉食らった.

自分も犠牲なのに,更に叱られると

やる気なくなる.

音も出せるようだけれど…

何故かでない.

はぁ…

溜息ついた所で…

周りを伺った所で…

あ…

アギ呼びかけて止めた.

また先生から叱られても嫌だし,

アギでは無くて,オックスだった.

彼の名は…そう決まっていた.


寮生活.

女子棟は遠い.

同じ時間でスタートさせろだって.

男子棟の奴らと.

ペナルティあり.

クラスごとで対抗.

絶対遅れるなよって圧が,しんど過ぎ.

思ったよりも体は無茶が利かない.

速度足りないから,時間を早めるしかない.

もっと寝てたい.


何故か今日は男子棟の寮長に挨拶しに来いって声掛けられてた.

なんか…

男子棟って,うぇいうぇいしてそうだな.

アギに声掛けて,寮長の部屋教えて貰った.

保険もかけて.

10分経って声掛けるようにお願いした.

失礼しますだけ声出してって.

アギに目を付けられても申し訳ないから,

カメリアです.

寮長失礼します.

ノックして入室する.

これまた賢そうな寮長.

ピーコックです,よろしくと言った.

寮長の部屋は1人部屋.

かかってるローブがブルーだから,水クラスの人.

間違って持って帰っていなければ…

間違いそうな感じではなさそうだから,水クラスだな.

広く使えてるらしい.

これは,普通2人で使うらしい.

アギに後で聞いてみよう.

挨拶も,そこそこでいいかな.

では,失礼しましたと告げる.

待ってとピーコック寮長が引きとめる.

…これ以上何を.

本当に女性?と聞いてくる.

うっうーん…

そこだよなぁ.

体は女性だけど,中身は男性.

あっ研究対象として見てますかと尋ねた所,

煮え切らないような返事.

なんか少し面倒になってくる.

そろそろ10分かな.

アギ早く.



「風」「土」「水」「火」

1名ずつ.

模擬戦.

決定打に欠けるなと言った奴と,

もう消耗戦でいいんじゃないと言った奴が,

こっちを見ていた.

何だよ,

お荷物みたいな顔しやがって.

そっちの黙った奴もそう思ってんのかよ.


確かに

お姫様の護衛役にはピッタリ.

だっけれど,

こんなの身持ちが固い奴がやれば

男でも大丈夫やろ.

男だからとか

女だからって

無いって…


無いって…


有る?


今日の任務のために

24時間位寝てきた.

夏休み,ずっと続けばいいなーとか

思った事もあるけど,

ずっと寝るって…それも案外苦痛.

もっ寝られない.


寝所の護衛.

ずっと立ちっぱなしじゃなくても良いって所が

まだいいな.

座って…立って…

その繰り返し.

自分のタイミングで.自由に.

何もする事ない.

何も異変が無ければ.

何か異変があれば外の魔法士に知らせよ.

どんな方法でも連れ去られないようにせよと御用命.

生死は問わない,そういう事なのかもなー.

それが自分の任務.

アギ羨ましがってた.

ちょっと位良いよなー.

寝顔拝見する位.

しねーけど.宰相が,どうも面倒くさい.


透明色の御姫様.

何色にも染まっていない.

世から消えれば,

世界のどこかに生まれる.

何処に生まれようとも中央に献上される.

悲劇の透明色.


ガタっと音がして…

音の方向に神経を尖らせる.

構えて,緊縛か窒息か攻撃か.

どれいくか相手次第だと目を凝らす.


あぁ

お姫様…

喉乾きました?

御手洗い?

何だか様子が変だ.

寝台の上に姿は無い.

昼間動いていた通りの見目.

寝惚けている?

その言葉がしっくりくるほどの…

蕩けた顔.

寝台へ戻りましょう.

そう声を掛けると,

首に腕を絡めてきた.

んー

これは

あれだな.

誰かと間違っている.


軽そうな姫様を抱え…

抱え…ようとする.

それなりに鍛えたけど,

軽く持ち上げられない…

何とか踏ん張って寝台へ…

一緒に倒れ込む.

はぁ…

夢遊病者とか聞いてねぇ.

どんどん仕事増えてんじゃん.


ちょちょちょ

待って待って.

口が柔らかい.

まさかの百合展開か.

この姫様…

力つっよ.

物凄く首上に傾けながら,

いいんだけど

自分的には良い展開なんだけど…

駄目やろー.


救難信号を背中側に向かって打つ.


魔法士どもが寝所にわらわら入ってくる.

どうしたどうしたって…

どうもこうも

こんな状態…です…けど…

助けてくださいの眼で見上げる.


何だか要約すると,

姫様は夜になると

こんな状態らしい.

何か間違いがあってはと,

護衛者に悩まれていた.

そこで,

卒業した自分に

白羽の矢が立ったらしい.

そんなの知らない.

頼むなら全て条件提示してからだろーと

下っ端ながら思った.


宰相に召集される.

黙って膝をつく.

他言はしないようにから始まり…

今日は,どんなお小言が繰り広げられるんだろう.

朝のお茶の種類も

窓辺に止まる鳥も

あんまり関係ない.

興味がない.

そんな話は好みではない.

とは言えない.

柔らかい表情浮かべ

はっとか,はいとか言ってる.

失礼だからと黙ったままでいると,

聞いていないのかになったし,

真面目な顔して聞いていると,

詰まらないのかに変換された.

もう,対応表に悩んでいない.

珍しいのだろう.

ただ単に.

核心のお話が始まるまで,

聞き続けるしかない.

女性は,こういった話が好みなんだろうとおっしゃられた…

そうとも言えねーよと言ってやりたかった.

宰相さんは寝て起きてかもしらないけれど,

こっち寝てないし,

また夜が来るんだし寝て置きたい.

聞けば聞くほど

親密度下がるから早く本題くれさい.


俺,男っ…

見た目こんなんだけど,

中見違うからっ.

アギっアギっ.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

極悪狼の群れと悪兎 食連星 @kakumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る