洗濯槽のワガシキンツバ

人と暮らすと色々な感性の違いというものが生じる。

一番大きいのは掃除というか衛生観念だと思う。

私は特にきれい好きだとか潔癖だとか思ったことはないし普通くらいだと思っている。

衛生観念みたいなものは数値化しづらいので中々すり合わせが難しいところであるが、先日掃除に関する事件が一つ起こった。


ルームシェアする前、各メンバーは既に一人暮らしをしていたのが大半であったので家電とか食器の類を持ち寄っている。

その一つに洗濯機がある。

私は近所のコインランドリーを利用する生活だったので、洗濯機は同居人の一人である「川上」のを設置することとなった。


私は掃除やお手入れの類が好きではないので(汚いのはもっと好きではないので、やるけど)、出来るならそういった労力はなるべく行わない生活を至上としている。

机や床に物を置かなければ拭き掃除はすぐ終わるし、食器を持たなければキッチンの手入れも皿洗いも短時間で終わるというような生活が理想だ。


なので洗濯機もコインランドリー利用が最高だと思っている。

しかし四人暮らしだとそうもいかないので、実家を出て以来はじめての洗濯機のある生活だった。

その洗濯機だがなんか臭うのだ。

私自身、臭いに関して敏感な部分もあるのだが、それにしたって何だかヘドロっぽい臭いがする。

早急に手を打たねばと清掃を行うことにした。


さて、上でも先に述べたように家電や道具というのには必ずお手入れが必要となる。

みなさまは洗濯機の清掃や手入れは行っていますでしょうか。


メーカーや清掃業者によると洗濯槽は一、二か月に一回、ゴミ取りフィルターは週に一回が推奨されているようだ。

私としては、こういった家電や道具のメーカーが推奨しているお手入れ頻度を超えたら綺麗好き、メーカーの言う通りの頻度で行っていたら普通、それ以下がズボラだと判断している。


我が家に来た洗濯機について持ち主の川上に聴取をしてみると、洗濯槽に関しては先月一度洗濯槽クリーナーを使用しているという。

カビ臭いのではなくヘドロっぽい臭いなので洗濯槽ではなさそうだと、ゴミ取りフィルターを開けてみた。


いたわ、犯人。

プラスチック製のゴミ取りフィルターから感じるずっしりとした重み。

何か詰まっているのが分かる。


開けてみると中にパンパンにゴミが詰まっている。

ほこりやティッシュのカスのような物達が、圧縮されにされ塊となっていた。

まるで和紙を作ったときのように、繊維達が押し固められて一つの物体と化している。

ケースから外すと個体だが、触るとボロボロと崩れる。モシャリとした感触。

喩えるならば和菓子の「きんつば」である。

しばらく「きんつば」は食べたくないと、掃除を終えて思った次第である。(臭いは取れました)

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