第63話 《ブレイブ・ブルー》蒼太
俺の名前は、紺野蒼太。
名前をもじって『
俺は今、深い絆で結ばれた仲間たちとともに、暴虐の限りを尽くす魔竜クズドラゴン・シーオリとの決戦の只中にあった。
「喰らえ邪悪なる魔竜よ、潜在無双奥義! 《
俺が必勝の言霊とともに極大のブレイブ・オーラを聖剣に注ぎ込むと、聖剣がまるで太陽と見間違うほどに激しい黄金の光を放ち始める。
そして黄金の刃となった聖剣でもって、俺はクズドラゴン・シーオリの強大な防御結界《イ・ケメン・イ・ダイセイ》を貫いて、その皮膚を深く切り裂いた!
『グルァァァァアアアアーーッ!』
クズドラゴン・シーオリが悲鳴と怒りの混じった咆哮を上げながら、体勢を大きく崩す。
「やったぞ! ついに絶対無敵と言われた防御結界《イ・ケメン・イ・ダイセイ》を撃ち抜いたぞ! さあ美月ちゃん、今だ!」
俺の指示に、『愛天使』美月ちゃんがすかさず反応した。
「はい、蒼太おにーちゃん! マナシーロ・マナシーロ! カクヨムノ・カミ・サッカ・センセー! コナタからカナタへ、カナタからコナタへ! 《アノーネ・チョウ》よ、我が願いに応えるがいい! ギュウドーン・キネンビー! ギュウドーン・キネンビー!」
人間にはまったく意味が理解できない『神なる言語《ハイ・エンシェント》』で書かれた『天界の魔導書《アノーネ・チョウ》』を使い、『愛天使』美月ちゃんが神聖禁呪魔法を発動する!
ともすれば『牛丼記念日』などと言っているようにも聞こえるが、もちろんこれは俺たち人間が『神なる言語《ハイ・エンシェント》』を正しく理解できないために空耳っているだけであり、決して『牛丼記念日』と言っているわけではない。
分かりやすく言えば、『What time is it now?』を『堀った芋いじるな』と聞き間違えるようなものだ。
ともあれクズドラゴン・シーオリは、美月ちゃんが生み出した『聖なる光で編まれた神威の牢獄』へと閉じ込められた!
・防御結界《イ・ケメン・イ・ダイセイ》の破壊
・《アノーネ・チョウ》の神聖禁呪魔法による束縛
これで賢者・健介から授けられた、勝利のための条件が揃った――!
「優香、今だ! 《アノーネ・チョウ》の光の牢獄が破られる前に、ここで決めるぞ!」
「分かったわ! 私の胸の中で燃える熱い想いよ! 今こそ顕現し、我が前に立ちふさがりし全ての愚かなる者を、等しく滅ぼし焼き尽くしたまえ!」
『魔術マイスター』優香が呪文を唱えると、その足下に複雑な図形と文字で描かれた漆黒の暗黒火炎魔法陣が展開する!
魔力の波動が尋常ならざるほどに高まっていき、優香の眼前に闇色に燃え盛る地獄の業火が顕現した!
そしてそれが限界まで高まったところで、
「全テヲ滅殺セシ黒キ轟炎《ギャラクティカ・ヘル=フレイム》!」
優香はその魔法の名を告げるとともに、闇色に燃え盛る地獄の業火を、身動きの取れないクズドラゴン・シーオリへと撃ち放った。
『グギャァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!』
《アノーネ・チョウ》で動きを封じられ、さらに地獄の業火に寄って全身をズタボロに焼かれたクズドラゴン・シーオリが、激しい怒りの咆哮を上げながら、最後の力を振り絞って、光の牢獄を力づくで打ち破ろうとする。
「これにも耐えきるとは、さすがに最強の魔竜と言われるだけのことはあるな。しぶといことこの上ないぜ」
俺は思わず感心したように呟いてしまう。
だがしかし!
事ここに至って、お前にできることは何もないと知るがいい!
「蒼太くん! ラストは任せたわよ!」
「やっちゃえ、蒼太おにーちゃん!」
「オケーイ!」
『魔術マイスター』優香と『愛天使』美月ちゃんの声援に背中を押されながら、俺はクズドラゴン・シーオリの懐へと一気に飛び込んだ!
『グルァァァァアアアアーーッ!』
最後の抵抗とばかりに渾身のドラゴンブレスが放たれるが、既にその威力は見る影もない。
俺は黄金色に光り輝く聖剣でドラゴンブレスを弾き飛ばした。
「もうここで終わりにしよう、クズドラゴン・シーオリ。お前の居場所はここにはないから――超絶潜在無双奥義、《
俺はフルパワーの聖剣を、一片の容赦もなく目の前のクズドラゴン・シーオリへと叩きつけた。
激しい閃光とともに、確かな手ごたえが返ってくる。
ここについに、暴虐の限りを尽くしたクズドラゴン・シーオリは討滅されたのだった。
…………
……
…
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