謎の仮面

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 その仮面は謎の仮面だった。


 以前、誰が所持していたのか、どういった理由で作られたのかまるで分からない。


 気が付いた時は名のあるコレクターの元へ行きついていた。


 仮面はそのコレクターの元で、丁寧に管理され、ケースに保存される事になる。


 しかし、どうやってか夜な夜なケースを飛び出しては、そのコレクターの屋敷を徘徊するのだった。


 見回りの使用人を何人もおどしているその存在は、夜に動き回る仮面として、怪談話を広めさせていた。


 やがて、そのコレクターの屋敷に使用人がほとんどいなくなる。


 不気味な仮面のある屋敷には、勤めたくないと思ってだった。


 怒ったコレクターはその仮面をたたき割ろうとした。


 しかし、仮面は勢いよく動いてコレクターの顔に貼り付いてしまう。


 コレクターは最初はもがき、仮面をとろうとした。


 しかしすぐにやめてしまう。


 コレクターの様子から、生気が失われる。


 仮面を顔に着けたコレクターはふらふらとした足取りで屋敷を出て、そしてそのまま永遠に屋敷へ戻る事がなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

謎の仮面 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ