8月25日
8月25日、今日も僕はオオバさんのところへ向かっていたが、どうにも気になる事があり、道中その事を考え続けていた。
「……なんだか父さんの機嫌が不思議なくらい良かったな」
この前から母さんとの夫婦喧嘩を続けていた父さんだが、昨夜帰ってきてから何故かすごく機嫌が良かった。と言っても夫婦喧嘩が終わったわけじゃなく、相変わらず二人の間にこれまでのような会話はなかったけれど、楽しそうに鼻歌を歌っていたり携帯を見ながらうっとりとした顔をしたりしていて、正直その姿は気持ち悪かった。
母さんはどうせ浮気相手でもいるのだろうと言っていたし、僕も同意見ではある。だけど、ただの浮気相手にしては少し様子がおかしいように見えていて、夕飯後にそそくさと風呂に入りに行ったりイヤホンをつけながら自分の部屋に行ったりしていたため、その様子がどうにも気になっていたのだ。
「……まあ、僕も人には言えない事なら幾つかあるし、父さんばかりを責めるわけにもいかないか。オオバさんの件しかり若宮さんの件しかり……」
ボソリと呟いた後、僕の頭の中には一糸まとわぬ姿のオオバさんと若宮さんの二人が浮かんだ。僕がオオバさんを愛しているのは間違いないし、オオバさんがいればそれだけで良いと思ってるのも間違いない。だけど、あの若宮さんの寂しげで哀しそうな姿は心の中からどうしても消えてくれなかった。
オオバさんとの一時に夢中になってる時は忘れられても、家に帰ってからはまた浮かんできてしまい、オオバさんと若宮さんの二人を色々な面で比べてしまうのだ。
「比べてもしょうがないだろ……そもそもあんな事をしたんだから、若宮さんがもう僕に構う事なんてないし、今日だって部活に来てないから話す事すら出来ない。だから、こんな事を気にしたって何も始まらないんだ」
そう言って僕はどうにか若宮さんの事を頭から追い払い、何も考えないようにしながら歩き続けた。そして十数分かけてオオバさんが住む廃墟に着くと、そこには昨日と同じ下着を着けてないタンクトップにホットパンツ姿で縁側に座り、缶の炭酸飲料を飲んでいるオオバさんがいた。
「オオバさん、こんにちは」
「あら、こんにちは。夏休みも終盤だけど、宿題は大丈夫なの?」
「宿題ならもう終わってますよ。初日からコツコツやってたので」
「ふふ、偉いわね。青志君は何においても頑張り屋さんなのね。宿題についてもあれについても」
そう言いながらオオバさんがにこりと笑う姿にドキリとしていると、缶の縁に付いていた炭酸飲料の滴が日焼けした太ももに垂れ、小麦色の肌の上で炭酸がパチパチと音を立てており、その滴が何故かとても美味しそうに見えてその部分を含めてオオバさんの全身を舐めたいという欲求に駆られた。
「はあ、はあ……」
「ふふ……今日も待ちきれないって様子ね。それじゃあ上がっていって。私もちょっと着替えたり汗を流したりしたかったから。ただ、この様子だと……もっと汗をかく事になるかしらね?」
そのオオバさんの言葉は僕の理性を壊すには十分であり、僕は外だという事も気にせずに息を荒くしながら服やパンツを脱ぎ捨て、縁側に座るオオバさんに強く抱きついた。
「オオバさん、オオバさん……!」
「あらあら……今日はいつもよりも甘えん坊さんね。でも、そんな姿も可愛らしいし、私もなんだか熱くなってきちゃうわ」
「はあ、はあ……ぼ、僕……!」
「ふふっ、わかってるわ。それじゃあ行きましょうか」
その言葉に大きく何度も頷き、僕は服とパンツを拾い上げてから縁側に上がり、オオバさんと一緒に和室の中へと入って、いつもよりも強く破れ障子を閉めた。
その後のオオバさんとの一時の僕はいつも以上に激しくオオバさんを求めており、オオバさんもその様子に少し驚いていたが、いつもと同じように優しくそれを受け入れてくれ、僕は自分の中で巨大になってしまった女性を喰らう獣に意識を預け、オオバさんの肉体の気持ち良さに溺れていった。
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