第79話 バランスを保つ者

 仁は薬箱を投げ、小鉄を構え、夏見とドクロ〝条規〟に走りよる!

それに気づいたドクロ〝条規〟は夏見を放り出した!

ドクロ〝条規〟は、夏見を放し、体制を立て直し、

〝馬〟の妖魔を出した!

仁は、「うぁー」と叫びながら〝馬の妖魔〟に小鉄を振り下ろす!

〝馬の妖魔〟は、前脚を大きく上げ仁の頭上から襲いかかる!

〝馬〟は、前脚で仁と小鉄を蹴り飛ばした!

夏見は、狐の妖魔が半分入った状態で、痙攣をおこしている!

弾き飛ばされた仁は、「まだだ!」と左手から、

〝カラス〟の群れを出し、馬に向ける!

〝カラス〟の群れは、馬の上下左右から襲いかかる!

ドクロ〝条規〟は、「こやつ!妖魔も使うのか⁈」

と更に〝牛〟の妖魔も出した!

〝馬〟と〝牛〟は、一匹、一匹とカラスを踏み潰す。

徐々に仁の形勢は悪化して、〝牛〟の妖魔に仁は踏み潰されそうになる!

「うわ!」仁の上に〝牛〟が乗った!


 そこで〝牛〟と〝馬〟の動きが止まる!

ドクロ〝条規〟は頭を抱え出し、やがてしゃがみ込み、「時間を稼ぐ、いま乗っ取り返した!〝本体〟

は車の後部座席にいる!」と我を取り戻した如月条規が搾り出す様に叫ぶ! 

が、仁には、上手く伝わらない。

仁は、「本体って?誰だお前は!」と如月条規に問いただす!

如月条規は、「あと数分は、操られる状態をとめられる!今は、夏見の父の如月条規だ!早く後部座席の男を祓え!」と踠きながら伝える。

仁は、よく理解できなかったが、車の後部座席に向かった!

仁が後部座席のドアを開けると、小柄な骸骨の様な男が、〝馬〟と〝牛〟の妖魔を携え飛び出した。

「如月め!また取り返しやがって!」と仁と対峙する!

仁は、右手に小鉄、左手に妖魔〝カラス〟を持ち、

「お前は、誰だ⁈」とドクロに向かう。

ドクロは、「これは、妖魔と妖魔刀を両方使うとは⁈上物だな!」と仁に襲いかかろうとした時、

只ならぬ妖気を感じた、小坂と蕎麦屋が店から、

出てきた。

夏見は、意識を取り戻し、条規の肩を抱く。

小坂は、「仁君!引きなさい!私達に任せて!」と叫んだ!

その瞬間ドクロは、「多勢に無勢!」と言い、身体から〝黄色味〟の帯びた煙を仁に向けた!

仁は、煙に侵され頭を抱えてしゃがみこんだ。


10秒ほど経つと仁は立ち上がり、

「ふう、これが、仁と言う男か?ふん!なかなか、

変わったものだ‥」と仁を〝侵食〟したドクロが呟く。

「この男を持ち帰れば、海斗さんも咎めとがないかも知れん!引く!」

そう言うと、仁は、ドクロの身体を車に乗せ、

運転できないはずの運転席に乗り込む!

小坂と蕎麦屋は、車に飛びつこうとするが、

ドクロ〝仁〟は走り去った。


 「パパ!パパ!」と夏見は、条規に声をかけるが

本物となった如月条規は、意識を失っている。

そばで、小坂と蕎麦屋は見守る。

 そこへ、一台のタクシーが、到着する。

中から降りたのは、大島師匠であった。

「おお!条規やっと入れたのか?小坂さん!ご無沙汰じゃのう!」と更に小さく見える身体で近寄る。

小坂は、「大島さん!来て頂けるとは、如月さんは、この通りです!しかし‥〝あの子〟が連れ去られてしまいました‥」と申し訳なさそうに話す。

大島師匠は、「あの子とは、連絡をくれていた〝仁〟とか言う子じゃな!それはまいった、よりによってあの子とは‥」と腕を組み考え込んだ。

小坂は、「私は、あの子は、〝点〟になるべき者と思っておりましたが‥」と大島師匠に意見を求めると、大島は、「まさしく!あの子は、〝点〟になる可能性を持っておるな‥小坂さんの報告を聞くと、

〝点〟となれば、100年ぶりの出来事だが、はたして‥」と条規を囲み、大島師匠と小坂師匠は思案した。

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