六件目 これも一つの喜劇?
「悠寿って性別って概念が一応は存在していたんだな...てっきり無性の悪戯好きな死神だと思ってたわ...」
「失礼だな〜、っていうか!!折角助けてあげた人に対してなんて口ぶりすんの!!」
少し前まで目に焼き付いていた、明るい金髪ショートヘアは何処へいったのだろうか。もしかして、この髪型はウィッグで、わざと目立たないようにしているとか?けど黒髪ロングのヘアスタイルも似合うなこの人...潜入調査とかあったら役に立ちそう...。
悠寿さんの髪型を見ながら、ずっと探偵気取り(一応探偵だけどね...)になって、自分の脳内で色々な情報を元に考察していると、
「? なに?もしかして、私のこの髪色でも気にな...」
「姫様〜!!ここにいらっしゃったんですか!!」
「は???姫様だぁ...?」
恐神先輩が口を捻じ曲げるような変顔をしながら、遠くの城らしき大きい建物から出てくる男数名の声を聞いて、如何にも‘’この時代に姫とかw‘’なんて顔をしながら呟いた。いやここ元禄時代なんだから、令和じゃないんだからいてもおかしくないでしょうに。
「姫様?誰だろ...姫様ってことは...女の子だよね?迷子なのかな、探してあげなくちゃ。」
「...真逆ここでもそれを‘’依頼‘’として承る気か?流石に派手な服装してんだろ姫なら。さっさと見つけようぜ。」
意外と乗り気じゃなさそうな顔して、恐神先輩優しいな。
そしてその後、三人で一致団結していざ姫様探しをしようとしたところであった。
「姫様...探しましたぞ...全く...散歩するなら一声かけてくださらないと、我々にとっても大変な騒ぎになるのですぞ...」
「...はい?ボク?」
一方的に承った依頼は、捜索開始して間もなく見つかった。
「さぁさぁ姫様、さぞ悲しかったでしょうこんな1人で長時間も外にいらして...早く中へ...」
「いやボクは姫様なんかじゃ...」
悠寿さんが隠しきれない動揺を表に出しているのにも関わらず、男達は彼女を小さな家のような中に半強制的に閉じ込め、俺達のことはまるで最初からいなかったもののようにして、颯爽と去っていってしまった。
「...いなくなっちまったな。」
「...ですね。」
彼女がその場から消え去り、更に騒がしく聴こえてくる街並みを歩きながら恐神先輩と歩くのは何処か寂しい気がした。
「とりあえずお岩を探すか。...悠寿なら大丈夫だろう。あの女なら脱走だってすぐできるさ。なんてったって、チビでずる賢い事には頭が働く器用な女だからな。」
「...お岩さん、見つかるといいっすね。」
「嗚呼。...見つかればいいけどな。」
恐神の言葉を紡ぐように混在し、街を彩るように集まる群衆の声がまたうるさく感じた。
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