2-14:決戦に向けて

東都に来たグリーンはアマリリスに言われるまま、東都のダンジョンへやってきていた。


「しっかしなぁ……レベル上げって言ってもVIT極振りのアタシがソロでレベル上げなんてできるのかね?」


東都のダンジョンは洞窟型のダンジョンだった。

入口にはデスティアの二人が門番として立っている。


「そういえばあの行商人……ホーノットだっけ、あいつ狐耳のビスティアだったけどデスティアとビスティアって違いあるのか?」


「ビスティアとデスティアは根本的に違うのだ。外様のティアーよ。」


門番さんが自分の独り言に答えてくれた。

……牛型ってミノタウロスみたいで怖いよなって思ってごめんなさい。


「グリーンだ……アマリリスから伝わっていると思うけど?」


「聞いている。レベルを上げるならさっさと潜ればいい、がしかし、ビスティアとデスティアの違いが判らないままではこの先困ることもあるだろう。聞いていくか?」


門番は3メートルほどの巨人だからか声もデカいし迫力もある。


「……ちょっと怖いけど聞いておくよ。間違えたら殺されそうだ。」


「うむ。ビスティアとデスティアの違いとは、スキルとジョブを持つか否か、だ。簡単に言えばな?」


「あぁ?スキルとジョブってのはティラーの特権だって聞いたんだけど?」


「……間違いではない。Cスキルスロットという物を持たない事こそデスティアがティラーに劣る部分だからな。しかし身体能力のみが優秀なビスティアはスキルとジョブを持たない。故にビスティアはデスティアの完全下位互換であり、ティラーからすれば同等の戦力というわけでもある。」


「ティラーとビスティアは同等なのか?」


「応とも。弱いティラーはビスティアに劣り、強いティラーはビスティアに勝る。全体で見れば同等とみていいだろう。」


「……人間はやっぱり雑魚?」


「先だって南都を襲撃したのなら気付いているだろう?お前たちティラーのステータスは武器さえ出していれば100だ。最低でもな。人間は1しかないと思っていい。


「だからアタシの“強打”でワンパンだったのか。」


「それでもこの世界で最初の生物なのだ。奴らは何千年も狡猾に生き延びてきた。馬鹿にしてはいかん。弱者には弱者なりの生存方法があるということを胸に刻んでおけ。」


「……人間は狡猾ね。……ありがとう、色々聞けて楽しかったよ。しばらくこのダンジョンに通うからまたよろしくな!」


「うむ。決戦まで日は少ないと聞いている。後悔の無いよう、頑張れ。」


「ありがとうな!」


頑張れなんて久しぶりに言われた気がする。

そんなことを思いながらダンジョンのビスデスを順番に倒していくのだった。


―――


――――――


―――――――――


「フフフ。クロヌリと青葉……そして君。」


アマリリスは目の前に座る男を見ていた。


「私は負けたくないんでね。君には期待しているよ?」


男は笑いながらそれに答える。


「俺様は人、プレイヤーを殺せればそれでいいんだ。そしてあんたもそれを望んでる。関係はそれだけで充分だろ?」

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