2-12:乙女の秘密
お互いにVIT極振りと知ったグリーンの行動は早かった。
「じゃあアタシを倒せないよなぁ!?」
再び走り出したグリーンはクロヌリの元へ帰る為走り出す。
「あ、待って!」
「待つかよ!」
アルタイルの横を駆け抜けようとするグリーン。
追いつくために武器を消して走り出そうとした途端。
「Aスロット1・アクティベート!」
おまけとばかりに“強打”をすれ違いざまに一発入れられる。
しかし走り出すために武器を出していない状態のティラーは人間とステータスが変わらない、故に。
「どぅしてこぉなるのぉぉぉぉぉぉ!」
体が黒い粒子になっていくアルタイルが残念な断末魔を残して消えていった。
「敵の目の前で武器しまうなよ……結構声自体は残るんだな。」
アマリリスから連絡が来る。
「青葉ちゃん青葉ちゃん、クエスト終わったー?」
「……見てるのかってくらいいいタイミングでかけてくるよな?」
前回のフレンドコールも大聖堂に入って並び始めたタイミングだったはずだ。
こんなにいいタイミングでかけてこられるものだろうか?
「フフフ。乙女の秘密だよー!でもヒントはあげる。V-STARSって知ってる?」
「お前も配信見てるのかよ!?」
「フフフ。私も暇を持て余すことだってあるさ。敵の戦力調査だよ、敵の戦力調査。」
アマリリスはどう考えても好き勝手しすぎだと思うが、アマリリスの取りとめもない会話を受け流しながら、とりあえずクロヌリの所に戻ることにしたグリーン。
「フフフ。こうして二人っきりで話していると恋人みたいだね?」
「……切るぞ。」
「きーらーなーいーでー!……ほら、もうすぐだよ。」
先ほどの部屋まで戻ると、歴代教皇の石像は無残にも破壊され、地べたに這いつくばるポラリスとベガの二人を見つける。
「あぁ、やっと帰ってきたか。もう帰るのか?」
クロヌリはさっさと帰りたいという態度を隠さずに言った。
「……あぁ、帰る、ね?一応聞くけどどこにだよ?」
「東都に決まっているだろう?我らが女王もそこに居られるのだから。」
二人の会話を聞いたポラリスとベガは己の武器である剣と大盾を支えに立ち上がる。
「我がスキルの一つすら攻略できぬ貴様らにはもう何もできないぞ?もう帰るがよろしいな?」
「「待て!」」
二人の静止の声を無視してグリーンを横抱きにするクロヌリ。
「それじゃあ、月末のイベントでまた会おう!」
屈託のない笑顔でグリーンは叫ぶと、クロヌリもそれに合わせて飛翔する。
「イィィィヤッハァァァァァァァァァァァァァ!」
「フフフ。青葉はクロヌリと飛ぶのが気に入ったようだね?」
「……またせがまれるのだろうか……。」
砕かれた大聖堂の天井から出ていった二人の姿が消えてもなお、ドレススーツの二人は空を睨んでいた。
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