転生したらJKになっていたので復讐してみた
ナユタ
-プロローグ-
こんなはずじゃなかったんだけどなぁ...。俺は今、学校の屋上に立っている。下から吹き上げる風が冷たくて痛い。スーツの内ポケットから遺書を取りだした。
「...ごめんな。母さん、親父」
靴を脱いで遺書が飛んでいかないように押さえると柵の向こうへ身を乗り出した。屋上から見える景色は夕日が照らしていて眩しい。グラウンドから部活に励む生徒たちの声も聞こえている。
-...半年前
「では、佐倉先生は2年A組の担任よろしくお願いします」
教師になって初のクラス担任を任された。緊張もするが嬉しさの方が勝っている。
「やったじゃん!佐倉先生!」
「頑張ってください!」
他の先生が背中を押してくれた。頑張ります!と気合いを見せてクラスへと向かった。名簿を見て出来るだけ生徒の名前を憶える。
「キラキラネームも多いなぁ…フリガナふるべきか?」
なんて考えて歩いていたら教室に着いた。背をのばし教室の扉を開けると騒いでいた生徒たちがしーんとこちらを見ている。何も言わず席につく。
「えー...今日から担任になる佐倉逸希です。担当教科は化学です。1年間よろしくな!ではー...出席を取ります」
隣のクラスからはキャーキャーと声が聞こえるのにうちのクラスは生徒全員が静かに座ったままでいる。まずは、質問とかそういうの聞いた方がいいんだろうか?生徒と仲良くするために名簿を閉じ教卓に置いた。
「な...なにか質問とかないか?」
-…しーん。
「そういうのいらないんで授業始めてもらってもいいですか?ここ進学クラスなんで他のクラスと一緒にしないでください」
-...彼は、浅田悠樹か。
唯一ここは進学クラス。
「そ...そうかじゃあ...」
チョークを持ち黒板に向かおうとした時
「つまんねー...マジで授業する気かよ」
「勉強なら家でやってるでしょ...空気読めない系の担任?ないわー」
背後からそんな言葉が聞こえた...授業するべきか少し話をするべきか...自分がこんなに悩んだりしてはいけない。
「じゃ、じゃあ少しだけ話するか...」
前を向いて見ると俺を無視して勉強をしている生徒が何人かいる。
「とりあえず自己紹介してもらおうかな?先生もみんなの名前早く覚えていきたいからね。窓側の生徒から順番によろしく」
窓際の生徒は少し嫌そうな顔をしたが立ち上がりため息をついた。
「麻生真衣」
「趣味とかそういうのも教えて貰えるか?」
「特になし」
ダルそうにこちらを睨むと席へ着いた。そんなにだるいか?と言いそうになったがここはグッとこらえてありがとうと伝える。
「井上優香です...趣味はマンガ読むことです」
「マンガかぁ!先生もマンガ読むからまた面白いのあれば教えてくれよ、じゃあ、次」
井上の後ろはイヤホンをつけて知らん顔していた。
「井上の後ろの生徒!イヤホン取って」
みんなの視線がそちらに向くとそれに気づいたのか席を立つ。
「伊川夏美...他になんか言うの?」
「趣味とか教えてくれるか?」
「音楽聴くこと」
「どんな音楽聞くんだ?」
「うざ...なんでもいいじゃん」
鬱陶しそうに呟くとイヤホンをつけ直し窓の外を眺め始めた。これ以上、何かを言えば初日から鬱陶しい先生になってしまう。
「じゃあ!次あたし!宇佐美チカ!趣味はねぇ...お菓子作り!また先生にも作ってきてあげるね!」
少しホッとした、こんな明るくて社交的な生徒もいるんだと。
そこから自己紹介を全員にしてもらいキラキラネームの生徒の名前にフリガナを振りつつ、まあそれなりにいい子たちだと言う印象を持ちながら授業を終えた。
「はぁー...覚えるのが大変だなぁ」
休み時間になり生徒たちが教室から飛び出してきたのを避けつつ職員室に戻る。
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