第10話 見えるだけ
私は怖かった。
時々見える人の死の情景が怖くて怖くて
その通りの一報が入る度に怯えていた。
でも全ての人を見られるわけではなくて
人生の色々な情景が見える人もいれば
何も見えないで素通りしていく人もいる。
近日中に起こることであったり
数十年後の出来事であったり
様々だった。
幼さが取れて押し黙れるようになってから
私は少し幸せになった。
何でも口にしてしまっていた時は恐ろしい出来事ばかり
考えないようにしようとしても
幻覚のように見える時は何もできない。
今も怖い、どこかに隠れたい。
何もできないのに見えるのは怖い。
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