第5話 除虫菊
005 除虫菊
シロバナムシヨケギク、それは、ついに日本に上陸した、キク科の多年草である。
これをいち早く、栽培量産して、蚊取り線香を作る必要があったのだ。
真珠の首輪プレゼント作戦では、英国女王にそれを献上し、英国型のガレオン船の設計図を購入してくる計画を立てている。そして、英国に渡るのは、ハム作りのために、日本に連れてこられた、ドイツ人だった。今回このドイツ人は本国に戻り、家族や親せきを集め、移住する計画を立てていた。ジパングだからだ。嘘です。生活が安定するからです。
その一環としてセルビア国某所の村で極秘にその性能が知られている、除虫菊奪取作戦が行われたのである。
その村では、ひそかにその花などを乾燥させておいておくと虫を寄せ付けないことが知られていた。しかし、その町以外の住民には教えていなかった。
だが、それを別知識知っている男は、かなり場所を絞って探させたのである。
やはり、和歌山といえば蚊取り線香。金鳥は和歌山からでた会社なのだ。
まあ、あんまり知られていないのだがな・・・。
もしかして、知られたくないのかもしれない・・・。
皆、このことは忘れてくれ。
和歌山にはこのような企業が多いような気がする。
例えば、松下〇〇〇さんも和歌山出身だが、和歌山には工場はない。
あるかもしれないが、大きなものはない。・・・・・・・。
これ以上は語るまい。
なぜ、そのようなものを欲しがっているのか?
勿論、蚊対策である。
蚊帳は非常に高価な代物なのだ。
動きも制限されるしな。
そして、ドイツ人チームは成功し、種を持ち帰ることに成功する。
英国型ガレオン船の設計図と職人が来日する。
なぜ、英国型なのか?
それは、英国がもうすぐ、スペイン、ポルトガルと海の覇権を争うのだが、そのための戦艦建造なのである。こちらは、その設計図を手に入れたいわけである。
英国船はその後、スペインの無敵艦隊を倒すことになる。
優秀船の設計図を何としても手に入れねばならない。
こうして、秘匿兵器の真珠の首飾りが使用されたのである。
ほぼ球形の真珠で首飾りを作ることは、この時代には、奇跡に近い所業である。
自然には、球形の真珠はほぼできない。
これは、養殖だからこそできるのである。
因みに、核は、失敗作を砕いて、糊で球状にしている。
核自体は小さいものなので、まだ大粒にならない。
しかし、核が小さい分、真珠層は厚くなっている。
長時間、光沢を維持できる代物になっている。
エリザベス女王もご照覧あれ!まさに顎が外れるばかりの驚きで、取引に応じたのである。
その分、技師の中に、スパイも紛れているのだが。
のちにこのことが、とんでもない事件を引き起こすことになる。
種は、太田大学頭に預けられ、栽培が始まる。
キク科の花であるので、栽培は順調に言った。
在田地方で栽培される。金鳥の社長は上山さんというらしいが、この姓は有田地方に多い。
すでに、渦巻き型が完成していた。
上山社長の奥さんがこの形を考えて、長時間の使用に耐えうるものを作った傑作らしいが、この男に、蚊取り線香の形はこれ以外に知らなかったのである。
蚊取り線香はひそかに大増産されていくことになる。
戦略物資だったのである。
戦場に必ず持参し、蚊を退治るようになる。
これは、非常に重要なことなのである。
風土病の媒介役として、蚊が重要な役割を果たす場合は、蚊取り線香は非常に大きな働きをすることになることは、推し量ることができるであろう。
嘗て、太平洋戦争時、日本にはほとんど蚊取り線香がなく、多くの兵士が、蚊による病気で衰弱し死んでいった。その間米国には、豊富に蚊取り線香があったという。
かくして、蚊取り線香の製造とガレオン船の建造がひそかに始まることになる。
このころ、イエズス会が、京で盛んに活動し始める時期でもあった。
南蛮貿易の利を歌い、各地の戦国大名に働きかけるのである。
中には、キリシタン大名になった者もいる。
それだけ、南蛮貿易に魅力があったのである。
勿論男のところにも来たが、男が選んだのは、イギリス。カトリックではなかったのである。
そして、彼ら(イエズス会)がどのようなことをするのかも知っていたため、剣もほろろに対応し、立ち去らせたのである。
なぜ、そのようなことが可能だったのか?
それは、男の手元には、鉛と硝石(チリ産)などが豊富にあったからである。
そして、堺の商人は、それらを明から輸入していた。
これが、無ければ、そうもいかなかったかもしれない。
しかし、義昭将軍はそうではなかった。
南蛮の武器などを欲したのである。
彼には、独自の戦力がなかったためである。
いまは、朝倉に後援を頼んでいる。
ただ、南蛮の武器、鉄砲や大砲は、雑賀鉄砲や芝辻砲に100年レベルで遅れているとは夢にも思わなかったに違いない。
後送式ライフルの登場などは、まだ100年はかかる予定だった。
大砲も後送式となれば同じである。
だが、男は、後送式は無論、駐退複座機まで考え始めていたのであった。
とにかく、男を悩ませていたのは、ばねだった。
いかにして、ばねを作るのか。これさえできれば、連発式銃の完成はすぐに達成できたであろうが、いまのところ、ばねは手作りで、性質もまちまちという感じで、大量生産はとても無理であった。だが、その中でも性能のよいものが選ばれ、徐々に集められていく。
それは、九十九銃勇士に連発式ライフルが配布されるということを意味する。
とても、危険な兆候であると言わざるを得ない現象だった。
そして、ばねは無理だが、駐退複座機は油圧式で何とかできると考えていたりしたのである。
恐らく、駐退複座機ができれば、大変なことになる。この男の前世での所業は、それを確信させるに足るものがあったことは、間違いない。
すでに、男の武器にたいする発想は、第2次世界大戦の武器そのものである。
そして、どれであればこの時代の技術を使用して作れるのか?男は、そういう意味でまさに、プロだったのである。
すでに、歴史に危険な印、666の刻印が刻まれようと・・・・・。
いえいえ、そんなことにはなりません。
だが、時は戦国、すぐにまた、硝煙と血の匂いに覆われていくことは間違いないのであった。
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