第50話 新たな日常


 「はぁ〜」


 「どうしたの?薫ちゃん、元気ない?」


 「ううん。そんなことないよ。ちょっと、寝不足で」


 「本当?それなら、保健室で寝てくれば?きっと、ベットを貸してくれるよ」


 「それは、、、。でも、本当に具合の悪い人がいるかもしれないから、ただ寝不足な私が使っちゃダメだよ。それに、もう大丈夫だから」


 僕は小鳥遊薫。高校2年生。先月、2年生になったばかりで、後輩ができたり、新たな出会いがあったりして、とても楽しく高校生活を送る、、、はずだった。しかし、2年生になって1ヶ月も経たない内に姉・妹・幼馴染・元婚約者に相次いでプロポーズされ、それを聞いた人たちからもプロポーズされ、さらに先生たちや姉の親友、白川澪にもプロポーズをされるという意味不明な事態が起きた。そして、現在


 「かおる〜。お姉ちゃんと遊ぼうよ〜」


 「お姉さま。私と遊びましょう」


 「薫ちゃん、私と遊ぼ!」


 「いや、お姉ちゃんも結愛も、澪さんも学年が違うのに、なんで休み時間のたびに来るの?休み時間なのに休めないよ」


 「なんて優しい娘なの?結婚して!」


 「お姉さまに心配して頂けるなんて!結婚しましょう」


 「薫ちゃんを愛しているから。そのためなら、私は何度だって来るわ!」


この美人で、しかも頭までいい人たちはこぞって残念である。さらに、


 「何言ってるの!?薫ちゃんは私が貰うの!」


 「戯言を仰らないで下さい。薫さんは私の妻ですから」


と、同じクラスの幼馴染と元婚約者まで参戦し、教室はカオス状態。こうなったら、誰にも止められない。そして、


 「薫ちゃんのほっぺぷにぷに〜」


 「クンカクンカス〜ハ〜ス〜ハ〜。あぁ、キマるわ」


 「薫ちゃ〜ん。今日も可愛いね〜」


約1名、ヤバい人がいたが、プロポーズしてきた5人が争っている隙にクラスメイトの女子たちが僕に抱きつき、触りまくり、匂いを嗅ぐ。もう毎休み時間このループ。そして、最初に戻る。


 「ねぇ、薫ちゃん。本当に大丈夫?私が保健室に連れてこうか?」


なんて、心優しいクラス委員の三枝さんが声をかけてくれる。(ただし、抱きつかれながら)


 「ありがとう、三枝さん。でも、保健室に行っても、渚先生に襲われるし。授業も受けなきゃいけないから、このままでいいよ」


そう、保健室にもプロポーズしてきた長谷川先生がいるため、まさに進むも地獄,引くも地獄である。

こうして、私の期待に満ち溢れた2年生生活は1ヶ月と経たないうちに崩壊し、前以上に疲れる生活が日常と化したのであった。

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