第30話 春休みだよ、全員集合!(春休みでも波乱は起きるようです) 温泉編後編+???


 

 「じゃあ、忘れ物無い?」


 「「「うんっ」」」


 「それじゃあ、帰ろうか」


 「ありがとうございました。またのご利用をお待ち申し上げております」


 「お世話になりました!」


父の休みの間という短い時間だったけど、堪能した小鳥遊家。帰路につくことになりました。


 「あっという間だったわね」


 「仕方ないよ。お父さんは忙しいし、お姉ちゃんも受験生だし」


 「そうね。でも、結愛の学力だったら去年も行けたかもね」


 「あの頃は不安だったんだもん」


 「でも、良かったわ。みんな同じ学校にまた行けて」


 「また、お姉さまと登下校できるなんて。結愛は頑張った甲斐がありました!」


 「そうね。もう帰る度に飛び込まれなくて済むわ」


 「しまった。それを忘れてた!」


と賑やかに帰路に着く小鳥遊家。短くても、家族の仲は深まったみたい。



 「「「「「ただいま〜」」」」」


あっという間に家に帰ってきた。この後の予定は特に決めておらず、受験生でもない僕は結愛と、たまにお姉ちゃんと遊ぶくらいしか無くなってしまった。


 ピンポーン


 「ちょっと〜。今手が離せないから、誰か出てちょうだい」


 「僕が出るよ」タタタッ


 ガチャ


 「はーい、どちら様ですか?」


 「隣に引っ越してきた松岡と申します」


 「あれっ。美来ちゃん?」


 「えっ?」


 「僕だよ。小鳥遊薫だよ」


 「ええっ。薫くんっ!えっ、でも薫くんは可愛かったけど男の子だったはず」


 「ええっと、詳しく話すから中入る?」


そう、幼稚園から小学校まで親友だった女の子が隣に引っ越してきたようです。



 「ホント久しぶりだね」


 「うん。また会えて良かった」


 「未来ちゃん、久しぶりね」


 「香澄さんも元気そうで良かったです」


幼馴染とも言えるこの子は松岡未来。幼稚園で仲良くなり、小学1年生まで一緒に遊んでいたが、引っ越してしまった。女顔で(姉・妹が男の子を寄せ付けず)友達が少なかった僕の親友として、家で遊んだこともある。ママを「香澄さん」、お姉ちゃんを「結奈ねぇ」と呼ぶほど仲が良かった。


 「久しぶりに戻ってきたので、お家の位置とか忘れてました」


 「そうねぇ。10年くらい前だったし。前は小さかったしね」


 「まさか、隣に引っ越してくるなんてね」


 「あの、お姉さま。この方はどちら様なのです?」


 「ああっ、松岡未来ちゃんだよ。結愛とも遊んだことあるよ」


 「無理もないわ。10年前だもん」


 「そういえば結奈ねぇは?」


 「自分の部屋で勉強中じゃない?受験生だから」


 「あっ、そうか?じゃあ邪魔しない方がいい?」


 「じきに降りてくるわよ」


 「ところで、薫くんは男の子だったはずじゃ。どう見ても、女の子に、、、」


久しぶりに再会した幼馴染。彼女にも話さないといけない時間がやってきたようだ。

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