第2話 シスコンな姉と妹(せめてブラコンにして!)前編

  キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン


放課後になると、部活動に所属していない僕はほとんど毎日、真っ直ぐ家に帰る。いや、帰らされる。


 「かおる〜。帰るわよ〜」


という声がホームルーム終了と同時にかかる。そう、一つ上の姉さんが迎えに来たのだ。


 「うん」


と言って僕は姉さんの元へ。そんな僕の後ろからは


 「薫くん。待って〜」

 「あと少し匂いを嗅げば部活頑張れるの〜」

 「帰らないで〜」


という声がかかる。1人変態がいたけど、そんな時に前を見ると鬼がいる。


 「誰かしら。うちの薫に変態行為をしている輩は。」


普段からは考えられないような低い声と怖い顔をした姉がいた。


 「失礼しました〜」


と一目散に逃げていくクラスの女子たちを横目に


 「姉さん。帰ろ〜」


と声をかけると、


 「うん!」


と元気いっぱい、優しい顔をした姉さんに戻る。こんな超絶シスコン?な姉さんの名前は小鳥遊結奈。僕の1学年上の高校2年生。とても美人で、胸も大きく、頼れる姉さんは生徒会長を務めている。頭も良く、僕にいつも勉強を教えてくれる。だけど、僕のこととなるとネジが外れたようになり、過保護を通り越しているのだ。


 これは女子だからまだいい。男子からのラブレターをもらった日には鬼どころの話ではない。鬼神が出る。


 「かおる〜。帰るわよ〜」


 「ごめん姉さん。今日はちょっとやることがあって」


 「そうなの?まさか、告白じゃないでしょうね」


この時には「ゴゴゴ」という擬音が聴こえそうな、威圧感が加わるのだ。


 「いやまぁ。そうだけど」


 「そんなの行かなくていいわ。さぁ帰るわよ」


 「ちょちょちょっと。ダメだよ。折角勇気を出して書いてくれたんだから」


 「なんで優しい娘なの。でもダメだわ。男なんて穢らわしいものに薫を触れさせるわけにはいかないもの」


 「いや、僕も男なんだけど。というか、今なんかおかしくなかった?」


 「そんなことないわ」


 「ちょっと行ってくる」


 「あ、ちょっと」


そして、戻ってくると


 「かーおーるー。ダメでしょ。勝手に」


 「ごめんなさい、姉さん。でも、」


 「でもじゃないわ。あぁもう。穢されちゃう。お姉ちゃんが浄化してあげるからね。ギュー」


 「ちょっと姉さん。抱きつかないでよ」


 「ダ〜メ。今浄化してるの」


 「浄化って何!?ちょっ」


ギューーーーーーーーーーーー


 これである。男子から告白される度に憂鬱なのは同性からの告白だからだけではない。毎回、浄化と称して、姉さんが抱きついてくる、人前で。はぁ。



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