序文
世界大戦の炎があちらこちらで昇り続けるいわゆる『仄暗い時代』の情勢でも公宮国は戦争をできるだけ回避すべく外交努力を怠っていないかったことは周知の事実だろう。
その非戦の先方が外務省ではなく、今日では防衛軍と名前を変えた戦前の国防軍であったことは何故かあまり知られていない。戦闘のために組織された国家機関なのにも関わらず、彼らは極端に戦争を嫌っていた。急進派や過激化からは「弱小国防軍」などと馬鹿にされてはいたが、国家を守る使命を決して放棄したわけではない。
四方を海に囲まれた大陸に公宮国は建国から今日に至るまで、外敵に侵略を受けたことのないのが何よりの証拠だろう。国防軍には陸軍局、海軍局、空軍局の3局があり、それを組織的に運用していたのが国防総司令部であった。国防総司令部は兵学校出の軍人を育て上げる3局とは違い、国防大学を出た優秀な士官達で構成されていた。「3局軍人は野蛮人、国防軍人は一般人」などと言われるほどに国防総司令部勤務の軍人と言うのは、軍組織に在籍していながら、一般人のような顔をした妙な軍人が多く在籍しており、そのもの達が外敵撃つべしと奇声をあげて息巻く3局の軍人を上手に押さえ込みながら統率を保っていた。
国防総司令部の一角に「武官連絡室」という組織があったのをご存知だろうか。こんなマイナーな部局を知っておられる方は少ないかもしれない、いや、国防総司令部の要員でありながら知らないと言う人も多いかもしれない。秘匿されたわけでもないのだが、兎角影の薄い部署であることは間違いないだろう。武官連絡室はその名の通り各国に置かれた公宮国大使館に派遣された総司令部勤務の軍人を管理する部署である。
そんな部署をなぜ私は記事にするのか。それは、今は亡き「神崎 大佐」の功績を世間に広く知らしめたいからである。そしてここのところ解体論がマスコミを騒がせている旧式でありながら現役航空戦艦として国を守り続ける「
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