9話 距離
やはり入学した時から変わってない。
彗はそう思いながら生徒会室に戻り席につけば、大きなため息をついた。
「先輩、戻ってたんだね。」
「すまない、先に行ってしまって。」
こんなに沢山貰ってどうしたものかと考えていると、郁利がやってきて声をかける。
彼が心配で追いかけてきたのだろう。
「先輩が行きたくなかったのは、特別扱いされるからだったんだね。」
相手の言葉に彗は頷くと、少し寂しそうな表情を見せた。
財閥の息子というだけで誰とも距離を置かれてしまうのだから。
話しかけても怒らせまいと愛想笑いをされ、気を使われ親の地位と名誉が邪魔をする。
「確かに嫌だよね。でも意外と話してみたら僕みたいな人もいるかもしれないから元気だして!」
郁利は相手の様子をみて励ますよう明るく話すと、彼はお礼を言って購買でもらった品物を手に取る。
「良ければ一緒に食べてくれないかい?」
「もちろん!」
相手の提案に郁利はにっこりと笑うと、彗にオススメの商品を紹介しながら実際一緒に食べたりと楽しい時間を過ごしたのだった。
果たして彼が周りの人々に馴染める日は来るのだろうか。
生徒会長はお一人様? 雪ウサギ @yukiusagi-839
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。生徒会長はお一人様?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます