生徒会長はお一人様?

雪ウサギ

1話 結局は

「ねぇねぇ!1つだけ話したいことがあるんだけど、聞いてくれる?」

「ん、いいけど。なに?」

「僕ね、君のこと好きなんだ。」

「は?…嘘だろ。」

昼休みの時間、郁利はずっと気になっていた男性と屋上で食事をしていた。

このチャンスを逃すまいと、相手がどのような反応をするか自身の気持ちを思い切って伝えたようだ。

しかし、彼はとても怪訝そうな表情をして驚きを隠せない様子である。


「なーんてね!冗談だよ。」

「なんだよ、驚かせるなよな。」

「ごめんごめん!今の言葉は忘れて!」

相手の表情をみた郁利は誤魔化すように謝ると、手に持っていたパックのりんごジュースを無理やり飲み干す。


「あーでも顔は可愛いからイケる…」

「へっ?」

「いや、やっぱ無いわ。」

「そ、そうだよね!僕もびっくりしちゃったじゃん。」

先程は驚きを隠せない様子だったが、急に顔を近づけ顎クイしてきたので郁利は戸惑いつつも顔を赤らめた。

だが、相手の一言で一瞬でその喜びは失われてしまう。


「じゃ、俺次体育で着替えなきゃいけねーから先行くわ」

「うん、今日はご飯付き合ってくれてありがとう!」

「おーじゃあな。」

相手は早々に立ち上がると郁利にそう言い残してその場を立ち去った。


彼の姿が見えなくなると、郁利はため息をつきながら地面へ寝転がる。

あーあまたダメだったなぁなんて思いながら。


ぼーっと彼が空を眺めていると、屋上へ続く階段からこちらへ向かう足音が聞こえてきた。


この場所に出入りする人は少ないはずだが、一体この足音は?



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