いたずらギツネの恋心

夜桜くらは

始、いたずらギツネの恒司

 ある山に、とても化けるのが上手なオスのキツネがいた。その名前は恒司つねじといった。

 恒司は人間を驚かすいたずらが好きで、いろいろなものに化けては人をからかったりしていた。


 ある日のこと、ただ人間を驚かすだけではつまらないと思った恒司は、もっと変わったことをしようと考えた。


「そうだ!人間の男に化けて、女をひっかけてやろう!」


 恒司はその日から毎日毎日、化ける練習を始めた。ただ男に化けるだけでは、女はひっかからないだろうと考えたからだ。

 そして一月ほどたったころ、ようやく満足できるほどの男の姿になった。


「これなら良いだろう。……くくくっ、どんなことになるか楽しみだぜ!」


 恒司はあくどい笑みを浮かべながら、山を下って行った。

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