その27 






 次の日の10時、アカネはハルルの指示で彼女とバイオレットと共に、冒険者広場の噴水前で勧誘したというタンク職を待っていた。


「誘った人って、どんな人なの?」


 アカネが尋ねると、ハルルは目線を逸しながら答える。


「凄く可愛い娘だよ……。ただ…… まあ… 根本は良い子だよ……」

「…………? よくわからないけど楽しみだな~」


 ハルルの説明の仕方に若干疑問を感じつつも、その人物が現れるのを待つ3人。

 しばらく待っていると、1人の少女が走ってやってきた。


「ごめ~ん、遅れちゃいました~」


 やって来たのはアカネと同じ位の年齢の少女であった。

 髪は明るめのアッシュブラウンの髪を、肩甲骨の辺りまで伸ばしてそれをおさげにしており、瞳も同じような明るいブラウンでくりっとしている。


 その容姿は、ぱっちりした目に長いまつ毛、整った鼻梁と小さ目の唇と可愛らしさで溢れていた。アカネ(彩音)もかなりの美少女であるが、それ以上では無いかと思われる程整っている。


 彼女は、普段はタンクの重装備ではなくおしゃれ装備である薄手のワンピースに身を包んでいるので、スタイルも良くて何がとは言わないがサイズも一番年上のバイオレットよりも大きい。


「陽ちゃ― ハルルちゃん、バイオレットさんお久しぶりです」


 アカネ達の元に辿り着くと少女はその可愛らしい笑顔を見せる。

 ハルルの本名である陽の事を知っている事から、どうやら彼女とは現実でも知り合いのようだ。


「お二人とは夏のコミケ以来ですね。私にお誘いが掛かったということは、例のお願いを聞いてくれるってことですよね?」


 少女は期待に満ちた瞳で見つめるが、それに対してハルルはこう答える。


「まあ、April(エイプリル)ちゃん。詳しい話はで、しようじゃない」


「ええっ!? 私のマイルーム!?」


 突然自分のマイルームが話し合いの場という事になり、アカネはバイオレットの後ろで驚きの声を上げた。


 アカネがバイオレットの後ろに隠れていたのは、彼女の小動物的直感がApril(エイプリル)は危険と警鐘を鳴らしたのでそれに従った結果だ。


 そんなエイプリルは、アカネを視認するとその顔を嬉しそうに輝かせる。


「うわー! 誰ですか!? この可愛らしい子は!?」


 エイプリルは、興味津々にアカネに近づくと至近距離からアカネを観察し始め、そんな彼女にアカネは恥ずかしいのか困ったような表情を浮かべている。


「はい、そこまで。その辺も含めて、続きはマイルームで話そうよ」


 ハルルはアカネからエイプリルを引き離すと、話を打ち切ってマイルームへの移動を急かす。どうやら、ここで話をするのは避けたい様だ。


 こうして、アカネはハルルに促されるままに、三人をマイルーム招待して部屋に移動するが、その間エイプリルはアカネを気に入ったのか、ジッと見つめてくる。


(うぅ~、エイプリルちゃんが、ずっと私を見ている気がする……)


 気のせいだといいのだが、と思いながらアカネは視線の主に話しかけてみる。


「あ、あの…… 私の顔に何かついていますか?」


 すると、彼女はハッとして謝罪の言葉を述べる。


「あっ、すいません。アカネさんがあまりにも可愛くて、思わず見とれてしました。それに、とても綺麗な黒い髪なので…… じゅるり。いえ、なんでもないですよ、気にしないでくださいね♪」


 エイプリルは舌なめずりをする。しかし、それも一瞬の事だったので、アカネは気のせいだったかもしれないと思い込むことにした。


 アカネのマイルームに飛ぶと、各自はアカネが設置した丸いちゃぶ台のような机に座り込み、対面するような状態で会話を再開する。エイプリルはアカネとハルルの間に座っている。


「アカネちゃんとエイプリルちゃんは、初対面なので私からお互いを紹介するね。彼女は、私の親友で幼馴染アカネちゃん。年齡は私と同じ17歳だよ」


 そう言って、まずハルルはまずアカネを紹介する。


「で… こっちが、エイプリルちゃん。同じく17歳で私とリアルでも知り合いなの」


「は、初めまして、エイプリルです。よろしくお願いします」

「アカネと言います。こちらこそ宜しく御願い致します」


 アカネとエイプリルは、それぞれ頭を下げあって挨拶を交わす。


 口調といい挨拶といいエイプリルは、とても礼儀正しく性格も温厚そうで、とても親しみやすい雰囲気を持っている。


 そのため初対面時で、何故嫌な感じがしたのかアカネにはわからなかった。だが、それは直ぐに間違いであった事が解る……


 アカネがそう思いながら、彼女を見ているとその視線に気づいたエイプリルは、ニコリと可愛らしい笑顔を向けてきた。


「ふふっ、そんなに見つめられると照れちゃいますよ」

「ご、ごめんなさい!」


 アカネは慌てて謝ると、エイプリルは「うふふ」と口に手を当てて微笑む。

 そんな二人のやり取りを見ていたハルルは、「コホンッ」と咳払いをすると本題を話し出す。


「今回エイプリルちゃんを呼び出したのは、……もう察していると思うけど、アナタをパーティーに誘うためだよ」


「やっぱり、そうだったんですね。ということは、あのお願いを聞いてくれるということですね! っで、どちらが私のお願いを聞いてくれるんですか!? ハルルちゃん? それとも、バイオレットさん?! 私はどちらでも全然オッケーですよ!?」


 エイプリルは、興奮気味に詰め寄る。

 どうやら、エイプリルの加入には何やら条件があるようだ。


「まあまあ落ち着いてよ、エイプリルちゃん。そのお願いは、このアカネちゃんが引き受けることになったから」


「えっ、そうなんですか!?」

「う、うん……」


 アカネは戸惑いながらも返事をすると、エイプリルは嬉しそうに顔を輝かせる。


「本当に!? 私は全然― ううん、二人には悪いですけど、アカネちゃんがモデルになってくれる方が嬉しいです! だって、アカネちゃんを始めて見た時から、絶対モデルにしたいって思っていたんです!」


 アカネは、目をキラキラさせるエイプリルを見て、思わず一歩後ずさってしまう。

 その目の輝きが、憧れや羨望という類のものではなく、まるで獲物を狙う肉食獣の眼光であること気付いたからだ。


 その瞬間、頭の中のハムスターの着ぐるみを来た彩音が、警鐘を激しく鳴らす。


「じゃぁ、アカネちゃん。早速だけど服を脱いでもらってもいいかな?」

「へ?」


 唐突に言われて、アカネは素っ頓狂な声を上げてしまう。

 そして、咄嵯に逃げようとするが、それよりも早くにエイプリルに腕を掴まれてしまった。


「さあ、早く!」

「大丈夫だよ、痛くしないから……うふ♪」


 そう言いながら、彼女は妖しい笑みを浮かべると空いている左手で、アカネの黒髪ポニーを触ると、恍惚とした表情になり少し息を荒くしながら、このような事を言ってくる。


「ああ~、この綺麗な黒髪と顔に白濁とした○液をぶっかけて穢せれるなんて堪らないわ~。こんなに可愛いんだもの、私が思うままに染め上げてあげないとね。きっと、アカネちゃんならどんな色にも染まるよね。ふふっ♪ 嗚呼… 想像しただけで、私の心のチ○ポがフル○起しっちゃう~~!!」


「ひゃうぅぅう!?」


 彼女のあまりの発言に、アカネは悲鳴を上げる

 エイプリルは、見た目はとても可愛らしい少女なのだが、今の言動から明らかにヤバい変態だとアカネは確信した。




      「その27 ヤバい仲間登場!!」

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