第6話 検査(1)

 食事後、母さんと氷室さんは帰っていった。

 なんか、最後まで母さんは色々と心配してたけど。

 病室に戻り、検査着に着替え室内の設備を確認しながら時間を潰した。

 スマホも持ち込んでいるのだけど、なんとなく弄る気がしない。


 時間になり、看護師さんが迎えに来た。

 それからは、様々な検査のため移動と検査の繰り返しだった。

 途中で何度か休憩はあったが、5時まで掛かった。

 食堂で夕食を取り、適当に室内のバスルームでシャワーを浴びた後直ぐに寝た。

 それにしても夕食は、昼食より食べる量を減らしたのに食べ過ぎた。


 朝、7時に看護師さんが起こしに来た。

 起きると、髪が爆発していた。

 それに、デリケートな所がヒリヒリする。


 看護師さんは、私の爆発した髪を見て溜息をついたあと

「神城さん、櫛は持っている?」


「たしか、カバンの中に・・・」

 母さんが持たせたポーチの中に入っていた櫛を取り出すと


「ちょっと貸してね。そこの椅子に座って」

 そう言うと、櫛を取り上げられ、椅子に座らされた。


 後ろに回ると、私の髪を梳き始めた。

「あの ありがとうございます」


「どういたしまして、私は若桜わかさ めぐみ

 貴方、綺麗な髪しているから、触ってみたかったの。

 それに、爆発した頭見てたら妹の様に感じてしまって、

 ついついお節介を焼きたくなったの」

 若桜さんは、若い看護師さんで20代中頃かな?


「神代さん 貴方お風呂に入った後、きちんと髪を乾かさないで寝たでしょう。

 せっかく綺麗な髪をきちんと手入れしないとダメよ」


「えーと、私の事知ってます?」


「ええ、聞いているわよ。

 能力の発露で性転換したんですってね。

 いきなり女の子になったから、色々と分から事だらけよね。

 ここにいる間は、お姉さんが色々教えてあげるから遠慮なく言ってね」


「ありがとうございます」

 その後、若桜さんが話しかけ私が受け答えしながら、髪を整えること10分

 爆発した髪は、元のストレートヘアに戻っていました。


「はい、終わり。どうだった?」

 やり遂げた感満載の若桜さんでした。


「ありがとうございます。非常に気持ちよかったです」


「それは、良かったわ」

 頭は非常に気持ちよかったのだが、ヒリヒリ感は強くなっていた。


「あのー」


「どうしたの?」


「実は、デリケートな所がヒリヒリしていて・・・」

 真っ赤になってしどろもどろに告白すると


「その場所見せて」

 一瞬にして、真剣な顔になった若桜さんに抵抗をする暇も無く服を捲られた。


「あー 大事な所が真っ赤になっているじゃあないの。

 こっちがこうなっているなら、こっちはどうかな?

 やっぱり、真っ赤だ。

 力入れて擦りすぎよ。洗うときは手に石鹸の泡をつけて優しく撫でる程度で十分なのよ。

 ちょっと待っててね。

 薬取ってくるから」

 そう言うと病室から出ていく。


 数分後、薬持って返ってきた若桜さんは、

「じゃあ、薬を塗るから服を脱いで」


「え、自分で塗りますよ」


「ダメよ。適当に塗ったら治るものも治らない。

 貴方が感じている以上に広範囲にかぶれているから、

 お姉さんに任せなさい」

 反論を許さない笑顔で迫られた。


「はい、お願いします」

 思わずそう答えてしまった。

 その後は、裸にされ薬を塗られるのだった。


 治療後は、若桜さんが持ってきた運動服に着替えてから食堂に向かった。

 朝食は、普通に美味しかったです。


 時間になったので、指定された施設内の第一体育館へ移動する。

 ずいぶんと大きな体育館だな。

 天井も高いからサッカーできそうだな。

 なんて思いながらキョロキョロしていると

「お、来たな。こっちだ」

 体育館に居た中年の男性に呼ばれたので、走って行く。


「おう、走らなくていいぞ。神城 優であっているか?」


「はい、そうです」


「そうか。

 今日の能力検査の教導官の太和たいわ いさおだ。

 よろしく頼な」


「よろしくお願いします。

 ところで教導官とは?」


「戦闘部隊で戦い方を教えている奴のことだ。

 そうだな、学校の先生みたいのものだ」

 大声で笑いながら答えてくれた。


 身長は180cm位の豪快なマッチョな人だ。

「さて、今日の予定だが

 午前中は、能力を使わない運動能力の確認だ。

 午後は、能力鑑定を行ってから能力の確認を行う。

 本来なら、運動能力の確認なんて行わないのだが、君の場合体そのものが変わってしまっているので行う。

 質問はあるか?」


「ありません」


「それでは、準備体操とストレッチを行おう」


 準備体操とストレッチをたっぷり30分かけて行い。

 学校でやる体力測定の様な事を適時休憩を入れながらこなしていく。

 10分間走が終わって、さらにクールダウンで更に3周徐々にスピード落としながら回った。

 汗だくで息が上がっている所に太和教導官が声を掛けてきた。


「お疲れさん。午前中の分は終了だ。しっかり休んでこい」

 そういって、体育館を出ていくのだった。

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