公式配信第29回
カレンダーは8月……毎日配信が続く。
毎日配信と言う割には、時間帯が……と言うのは、やや仕方のない個所はあるのだろう。
そんな中で、配信が始まる。
『皆さん、お待たせしました。アーカーシャチャンネルの管理人です』
画面に姿を見せたのは、ショートヘアにメガネ、若干巨乳なメイド服姿の女性。ニーソックスも着用していた。
管理人代行は男性らしいが、管理人は女性である。女性VTuberが比較的に多いのかは……色々な事情もあるだろうが。
セットに冷房器具は置かれていないが、熱中症対策という事で扇風機が稼働中。
……ここまでほぼコピペという事でお気づきの方もいるかもしれないが、連日更新である。
『様々な時間、過去、未来、それこそ別次……バッサリ割愛する方向で』
管理人の注意事項はざっくりカット。やはり、文字数稼ぎと思われがちな箇所ではあるのだが……。
VTuberの場合、お約束なアクションとか……おなじみの様式美のようなものはある。フィクションではあるが、アルコール飲料を飲んで……と言う人とか。
定例文のアナウンスをしなければ、悪意あるインプレゾンビなどが炎上の為に拡散する可能性は否定できないし、そういった行為が一切怒らないとも言い切れないだろう。
そこまでやって炎上やバズを得ようとする行為が……と言われると、労力の割に少ないパターンはあるかもしれないが。
たいていが、インプレゾンビと通報されてアカウントがシャドウバンを受けるなどするのだろう。
『現在、特別配信期間に突入しております。ほぼ毎日です』
8月の配信は、特別配信である。
そういえば、とあるソシャゲでは今日からコラボイベントが始まったらしい。しかし、ここで触れるとさすがにアウトなので割愛コースだが。
『アーカーシャチャンネルの観測は原則としてフィクション、架空のものです』
『これを言っておかないと、インプレゾンビ勢や悪意ある『バズり』勢力とかがネガティブ要素を含めて拡散する可能性があると思いますので……』
『皆様のご理解とご協力をお願いします』
SNSのトレンドを見れば、様々な炎上しているような案件を見かけることはあるが、彼女がそう言った炎上案件で閲覧数を安易に稼いでバズるようなことはしない。
それで炎上し、逆に活動停止に追い込まれた方が……彼女にとっては不利なのだろう。
この辺りは定型文なので、どうしても入れておかないとまずい部類かもしれない。
目指すべきは収益化なのだが……動画サイトではないのもあって、そのボーダーラインは分かりづらいだろう。
『今回も、リサイクル企画で行きましょう』
本日もリサイクル企画らしい。さすがに本日より始まったソシャゲのコラボイベントに触れるわけには……以下略。
カクヨムにしても、ノベプラにしても……投稿できる二次創作はホワイトリストにある作品だけ。
クロスオーバーも非推奨なので、下手に言及したら……と言う事情はある。
『皆さんは、過去に特別配信を行った『埼玉県某所の食玩スーパーに迫る』を覚えていますか?』
『この時に言及した特価品を扱うスーパー、実は元ネタがあるんです』
『さすがに食玩オンリーに近いような店舗ではありませんが、ね。モチーフベースがあったからこそ、ああいう風に話が組み立てられたのかもしれません』
今回言及するのは、過去に特別配信を行った食玩スーパーの話だ。
このスーパー、実は元ネタとなる店舗があるらしいという。オケアノスにしても、元ネタとなる物は存在するかもしれないが……その辺りは現状では不明かもしれない。
『そのスーパーの名称を出すにしても、宣伝と思われがちなので、あえてここでは言及しません』
『気になったら、調べてみるのも手です。最近、テレビで何度か取り上げられていますので、知っている人は「あの店舗か?」と分かるかもしれませんが』
アーカーシャチャンネルの話題は、大抵がフィクションの現実化みたいなルートをたどるような作品もある。
しかし、さすがに食玩オンリースーパーは、あまり聞かないだろう。
秋葉原のホビーショップで、お菓子を抜いた食玩のおまけだけがシングルで売られている……ならあるかもしれないが。
電機店やホビーショップでも、稀に食玩は取り扱う。しかし、食玩にはガム以外のジャンルでは賞味期限があるのだ。
さすがに期限切れを売るわけには……と言う事情もある。
だからこそ、賞味期限が2か月を切った辺りでは、在庫一掃セールと言わんばかりにセールをすることがあるらしい。
こういった現実にもあるようなケースを織り交ぜ、あの食玩スーパーが生まれたのだろう。
『コンビニでもある程度の半額セールはあるのですよ。利用していただいて、それこそ食品ロスを減らさないと……と言うのはあります』
『ジャンルによっては、半額セール待ちをしていたかのように売れるようなジャンルもありますが……そればかり狙っていると、扱わなくなりそうなので、色々とバランスは保たれるべき、と』
今回も、やはりというか若干歯切れが悪い。ポジティブ方向はそのままな一方、食品ロス問題は様々なジャンルで言われている話題でもあった。
自分のような発言力が高いとは……と言う状態で言及しても、それが良い方向に拡散されるかは分からない。
下手をしたら、それこそ火に油を注ぐ展開にもなりかねない。
『これは一種のお気持ち表明ではありません。それを間違えて、安易なバズり勢力がお気持ち表明だと言及し、炎上する……そういう展開が、一番あれなんですよね』
アーカーシャチャンネルは、基本的に炎上するようなニュースやゴシップは扱わない。それに加えて、お気持ち表明も一切行っていない。
それを踏まえれば、一目瞭然だが……。
その後は、雑談枠となった。ソシャゲのイベント関係で色々と忙しくなっていることが言及されている。
ソシャゲのタイトルを出せないのは、小説サイトのホワイトリスト的な事情があっての事だ。
そういえば、音楽ゲームのイベントは言及できたのに、こっちが言及できないのはどうしてだろうか?
アーカーシャチャンネルではよくあることだ。
『皆さんも、可能であればレッツVTuber、なのですよ』
最後の台詞は元気よく、いつものワンパターンではありつつも、ポジティブを強調して配信は終わった。
相変わらずであるが、ワンパターンではあっても決めのセリフなどがあると、一安心するのは……気のせいではないはずだ。
いわゆる、様式美だ。あの有名な時代劇の桜吹雪も、印籠を出すシーンも効果的な場面で出してこそ際立つもの。
アーカーシャチャンネルの、この決め台詞も同じようなものと考えているのだろう。
次回の配信スケジュールを見ると予定は未定の一方で、更新に関しては企画の関係上でも期待が持てる。
一方で、ソシャゲのイベントにも言及していたが、こちらのプレイ時間もある程度確保しないといけないので、その辺りのリソース配分が大変という事らしい。
イベントが増えると、それこそ大変だが……絞り込んでプレイしているので、そこは問題ないのだろう。
終盤も一部がコピペ気味だが、キャプション文などは定型文なVTuberは多いので、この辺りは彼女の特色と考えるべきか。
この配信をきっかけに、アーカーシャチャンネルが話題になる事を信じて。
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