公式配信第28回

 カレンダーは8月……毎日配信が続く。


 毎日配信と言う割には、時間帯が不定期である。


 動画サイトで有れば、混雑している時間帯を外しての配信と言う路線もあるが、アーカーシャチャンネルは小説サイトで配信を行うVTuberだ。 


 時間帯に影響を受ける事があるのだろうか? 小説の場合、深夜近くに更新すると閲覧数が上がる話はあるのだが……。


 そんな中で、配信が始まる。



『皆さん、お待たせしました。アーカーシャチャンネルの管理人です』


 姿を見せたのは、ショートヘアにメガネ、若干巨乳なメイド服姿の女性。


 管理人代行は男性らしいが、管理人は女性である。色々と事情があるのだろう。


 セットに冷房器具は置かれていないが、熱中症対策という事で扇風機が稼働中。


 ……ここまでほぼコピペという事でお気づきの方もいるかもしれないが、連日更新である。


 今回もニーソックスを着用している。


『様々な時間、過去、未来、それこそ別次元……と行きたいですが、文字数的な事情でざっくりとカットします』


 管理人の注意事項はざっくりカット。やはり、毎日更新だと文字数稼ぎを疑われそうな気配ではあるだろう。


 定例文のアナウンスをしなければ、悪意あるインプレゾンビなどが炎上の為に拡散を……と言う可能性は否定できない。


 そこまでやって炎上やバズを得ようとする行為が……と言われると、労力の割に少ないパターンはあるかもしれないが。



『現在、特別配信期間に突入しております。ほぼ毎日です』


 8月の配信、前の配信を見てわかるのだが、特別配信である。


 特別配信でなくても週1配信とかすれば視聴者が集まるのでは……というツッコミも飛ぶかもしれないが、それは置いておく。


『アーカーシャチャンネルの観測は原則としてフィクション、架空のものです。現実であったとしても、ネガティブ要素を含むものは一切配信しませんので、悪しからず』


『これを言っておかないと、インプレゾンビ勢とかがネガティブ要素を含めて拡散する可能性がゼロではありません』


『皆様のご理解とご協力をお願いします』


 SNSのトレンドを見れば、様々な炎上しているような案件を見かけることはあるが、彼女がそう言った炎上案件で閲覧数を安易に稼いでバズるようなことはしない。


 それで炎上し、逆に活動停止に追い込まれた方が……だろうか。


 この辺りは定型文なので、どうしても入れておかないとまずい部類かもしれない。



『今回は、色々と没ネタもありますので、それをリサイクルするような企画です』


 本日はリサイクル企画らしい。さすがに本日より始まったソシャゲのイベントに触れるわけにはいかないだろう。


 この辺は、投稿しているサイトの事情もあるのだが。下手にチャンネルが凍結されたら大変である。


『実はですね、しれっとVTuberものでバトルものも考えていた時期があるのです』


『当然ですが、対電忍や水面下進行中のプロットとは別ラインですが……』


 今回言及するのは、過去に没にしたプロットの様だ。


 プロット自体は色々と細かい部分も組んでいたようだが、諸事情で没になった様子。


 同じようなネタが被ったという理由で没になったというよりは、更に別事情の様だが。


『途中まで書いたことは書いたのですが……』


 そのタイトルは『ヴァーチャルとリアルの境界線』という。


 ざっくりいうとVTuberアバターがリアル世界にARアバターとして登場し、宇宙から現れた異星人と戦うというバトルもの。


 バトルものと言っても、そのノリはホビーアニメような路線である。


 その一方で、VTuber事務所同士の争いなど……そういった物を踏まえた作品だった。


『この当時は、まだVTuberがあそこまで大規模になるというのは予想もしていませんでした。今のタイミングでやれば、もしかすると、もあると思いますが』


 今回も、やはりというか何か歯切れが悪い。いつものポジティブ方向もそのままなのだが……。


 深刻そうにお気持ち表明をしているわけではないので、それはそれなのだろう。


『自分の作品で、いわゆる「時代が追いついた」とか「フィクションの現実化」はよくあることなのですが、ね』


 こういったケースは、本当にイレギュラーである、と断りを入れたうえで、彼女が言及したのは予想外の事だった。


 スポーツの世界でフィクションを越えるような選手が活躍したり、将棋ラノベにおいての主人公以上の実力者がリアルの将棋で姿を見せたり……そういった事例も散見されている。


 アーカーシャチャンネルの小説で、そこまで現実に追いついたパターンが本当にあるのかも疑わしい個所はあるが、大まかな要素よりはピンポイントで現実化するようなケースなのだろう。


 それを踏まえると、彼女の方も大変かもしれない。



 その後は、雑談枠となった。ソシャゲのイベント関係も進めていることを言及していた。


 まだ、今回のイベントのメインである追加プレイアブルキャラは仲間にしていないようだが……。


 ソシャゲのタイトルを出すと二次創作と認識されそうなので、ここでは割愛する。


 アーカーシャチャンネルではよくあることだ。



『皆さんも、可能であればレッツVTuber、なのですよ』


 最後の台詞は元気よく、いつものワンパターンではありつつも、ポジティブを強調して配信は終わった。


 相変わらずであるが、ワンパターンではあっても決めのセリフなどがあると、一安心するのは……気のせいではないはずだ。


 ここのパートに限って言えば、歯切れが悪いという事はない。つまり、これが元々なのだろう。



 次回の配信スケジュールを見ると予定は未定の一方で、更新に関しては企画の関係上でも期待が持てるだろう。


 一方で、ソシャゲのイベントにも言及していたが、こちらのプレイ時間もある程度確保しないといけないので、その辺りのリソース配分が大変という事らしい。


 この辺りもコピペ気味だが、キャプション文などは定型文なVTuberは多いので、この辺りは彼女の特色と考えるべきか。


 そういえば、例の音楽イベントももうすぐなので……その辺りの告知も近いうちにあるだろう。


 この配信をきっかけに、アーカーシャチャンネルが話題になる事を信じて。

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